ピアノでよく使われる音楽記号一覧!覚えておきたい記号の意味や読み方について解説

本記事ではピアノを始めたての人にむけて、楽譜に出てくるさまざまな記号の読み方や種類について解説しています。「この記号ってどういう意味だったかな?」と手が止まってしまうこともあるでしょう。しかし、ピアノの楽譜には強弱や変化、演奏方法などを指示するさまざまな記号が記載されており、それらのニュアンスをくわえて演奏することによって、表現豊かな演奏をすることができます。

本記事を参考にしながら、ピアノ演奏における表現の幅を広げてください。

目次

ピアノの音楽記号とは

ピアノの音楽記号とは、楽曲を演奏する際の指示を表す記号を指します。ピアノの楽譜には、音符以外にもさまざまな記号が記されており、音の長さや強さ、テンポや演奏方法の指示などが含まれています。これらの音楽記号は、楽曲を正確に演奏し、「このようなニュアンスで弾いてほしい」という作曲者の意図を汲み取るための重要な要素です。

ピアノでも多く使われる音楽記号の種類

・音部記号

音部記号とは、五線譜のはじめや曲の途中に書かれた、音の高さを示す記号です。実は、五線上に音符を書いただけでは、その音符がどの音を示しているのかは分かりません。

例えば、音部記号によって第2線に書いた音が「ソ」になる場合もあれば「シ」になる場合があります。音部記号がないと、楽譜に示された音の音程が分からなくなるため、音部記号は必要不可欠です。

・強弱記号

音の強さや弱さを表す記号のことを強弱記号と言います。「フォルテ」や「ピアノ」などのイタリア語で表記され、楽曲に表情を加えるための重要な記号です。同じ楽曲を弾いても、強弱記号の有無によって曲の印象が大きく変わるため、強弱を意識して演奏することが大切です

・変化記号

変化記号とは「シャープ」や「フラット」など、音の高さを変化させる記号のことです。変化記号がつくことで、音が半音高くなったり、低くなったり するという指示を意味します。

・反復記号

反復記号とは、特定の部分を繰り返し演奏したり、一定の位置に戻って演奏したりすることを指示する記号です。また、反復記号があることで楽譜がコンパクトにまとまるため、慣れるとコンパクトで見やすい楽譜が書けるようになります。

・アーティキュレーション記号

アーティキュレーション記号とは、音のつなぎ方や区切り方、音符の長さや休符では表しきれない音の長さを指示する記号のことです。音と音をつなげずに短く区切ったり、アーティキュレーションがついた音を強調したりすることを示した記号があり、アーティキュレーションを意識することでより豊かな演奏表現を行うことができます。

このように、ピアノの音楽記号にはさまざまな種類があります。それぞれの音楽記号を意識することで、同じ楽曲でも全く異なる印象の演奏になるでしょう

後述では、具体的にどんな音楽記号があるのか、その読み方や意味について紹介します。

音部記号

・ト音記号

ト音記号とは、五線上の「ソ」の位置を表す高音部の音部記号のことです。基本的には五線の第二線上の音を「ソ」と定め、ピアノの楽譜では右手でト音記号の部分を弾くことが多くなります。

・ヘ音記号

ヘ音記号とは、五線上でどこが「ファ」の位置を示す低音部の音部記号です。記号の先端にある黒い丸の部分が置かれている線を「ファ」としますが、基本的には第四線上の音を「ファ」と定めることが多くなっています。なお、ピアノではヘ音記号の部分を左手で弾くことが一般的です。

強弱記号

・フォルテ

フォルテとは「強く」や「大きく」を意味する記号です。フォルテが記載されている場合は、力強く演奏しましょう。

・メゾフォルテ

メゾフォルテは「少し大きく」や「やや強く」という意味の記号です。この「メゾ(mezzo)」とは、イタリア語で「半分の」という意味があります。

・フォルテッシモ

フォルテッシモは「きわめて強く」という意味を持つ記号です。先程の「メゾ(mezzo)」とは逆の意味となり、フォルテよりもさらに強調して演奏すべきという意味になります。

・スフォルツァンド

スフォルツァンドとは、イタリア語で「力を込めて強く」という意味の言葉であり、その音だけを特に強調するという意味の記号です。スフォルツァートと呼ばれることもあります。

・ピアノ

ピアノとは、イタリア語で「慎重に」という言葉であり、「弱く」「小さく」という意味の記号です。ピアノが記されている部分はそっと静かに演奏しますが、小さくても芯のある音を出せるよう意識しましょう

・メゾピアノ

メゾピアノは「やや弱く」や「少し小さく」という意味があります。「どちらの記号が強いのかわからなくなる」という方もいるかもしれませんが、強弱を比較すると「ピアノ<メゾピアノ<メゾフォルテ<フォルテ」となることを覚えておきましょう。

・フォルテピアノ

フォルテが「強く」、ピアノが「弱く」という意味であるため、フォルテピアノは「強音で弾いた直後は弱音で弾く」という意味の記号になります。

・クレッシェンド

クレッシェンドとは「だんだん強く」を意味する記号であり、楽譜では「<」や「cresc.」と記載されます。曲の盛り上がりを表現したい部分でよく使われる記号です

・デクレッシェンド

デクレッシェンドは、クレッシェンドの逆で「だんだん弱く」という意味の記号です。ディミヌエンドとも呼ばれ、楽譜では「>」や「decesc.」、「dim.」などと表記されます。

変化記号

・シャープ

シャープは「半音高く」という意味の記号です。シャープが出てきた時には「右隣の黒鍵を弾く」と覚える方もいるかもしれませんが、「ミ」や「シ」の右隣は白鍵のため、黒鍵を弾けば必ずしもシャープになるというわけではありません。

・ダブルシャープ

ダブルシャープとは「全音高く」という記号で、この記号がついた音は音の高さを半音2個分上の音を弾きます。例えば「ソ」にシャープがついた場合は「ソ#」ですが、ダブルシャープがついた場合は「ラ」の鍵盤を弾きます。

・フラット

フラットは「半音低く」という意味があります。「ファ」と「ド」のフラットを弾く際は隣に黒鍵がないため、シャープと同様、注意してください。

・ダブルフラット

ダブルフラットとは、ダブルシャープとは逆に「全音低く」という意味の記号です。例えば「ラ」にダブルフラットがついている場合には「ソ」の白鍵を弾くことになります。

・ナチュラル

ナチュラルは「元の音の高さに戻す」という意味です。例えば「ソ#」が出てきた後にナチュラルがついた「ソ」が出てきた場合、そのまま「ソ」の音を弾くということになります。

反復記号

・リピート

リピートとは、「楽譜の特定の部分を繰り返し演奏する」という意味になります。リピート記号が記されている場合は、その小節を1回繰り返してから次に進みましょう。

例えば、上記の場合はA→B→C→B→C→Dの順番で演奏します。

・1番かっこ・2番かっこ

1番かっこ・2番かっこは、リピート記号と併用される記号です。リピート記号が記された小節を弾く際に、1回目は1番かっこの中を、2回目は2番かっこの中の小節を演奏します。

例えば上記の場合は、A→B→C→A→D→Eという順番で演奏します。

・ダルセーニョ

ダルセーニョとは「D.Sという記号が書いてあるところからセーニョの記号が記載された場所まで戻る」という意味があります。そのため、楽譜の途中でセーニョが出てきた場合、ダルセーニョが出てくるまではそのまま演奏して問題ありません。

上記の場合は、A→B→C→D→E→B→Cの順番で演奏します。

・ダ・カーポ

ダ・カーポは「初めから」という意味のイタリア語で「曲の最初に戻る」という指示の音楽記号です。略して「D.C」と記載されている場合が多くなっています。

上記の場合はA→B→C→D→E→A→B→Cの順番で演奏します。

ダ・カーポが出てきたら曲の先頭に戻ってフィーネがあるところまで演奏してください。

・フィーネ

フィーネとは、イタリア語で「終わり」を意味する言葉で、フィーネがあるところで曲を終了することを示しています。ダルセーニョやダ・カーポで特定の場所まで戻った後は、フィーネの位置で演奏が終わります。

・トゥー・コーダ

リピート記号によって繰り返し演奏する小節の中に、トゥー・コーダが記載されている場合に、コーダ(Coda)と記載された場所へと飛ぶことを意味します。その場合、トゥー・コーダとコーダの間にある小節は演奏しません。

上記の場合はA → B → C → D → B → C → E → Fの順で演奏します。

アーティキュレーション記号

・アクセント

アクセントは「その音を強調する」という意味の記号です。アクセントが記載されている場合は、その音の音量を大きくして演奏しましょう。

・スタッカート

スタッカートとは「音を短く切って」という意味の記号です。スタッカートがついていたら、音と音をつなげずに分離して演奏してください。

・スラー

スラーは「なめらかに」という意味があり、指定範囲内の音を短く切ることなく、なめらかにつなげて演奏する際に用いられる記号です。

・フェルマータ

フェルマータとは「その音符や休符を程よく伸ばす」という意味の記号です。音を伸ばす時間に明確な決まりはありませんが、音符・休符の約2~3倍延ばして弾くことが一般的とされています。

・テヌート

テヌートは「その音を十分に伸ばす」という意味を持つ記号です。その音のみを伸ばすという記号であるため、スラーのように次の音とのつながりを意識する記号とは異なります。

・タイ

タイは、隣り合っている同じ高さの音を「一つの音のようにつなげて弾く」という意味の記号です。タイで結ばれている音符は弾き直さず、そのまま演奏します。スラーと似ている記号ですが、混同しないよう注意しましょう

まとめ

今回は、ピアノでよく使われる音楽記号の読み方や意味を詳しく紹介してきました。

音楽記号は、楽曲の表現に大きな影響を与える重要な要素であるため、それぞれの意味をきちんと理解したうえで演奏できるようになりましょう。今回の記事を参考にして、ピアノの演奏力向上に役立ててください。

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