こんにちは。リュウタロウ先生です。東京芸大休学中の作曲家です。
AI作曲はダメとかよく聞きますが…一方で、古今東西の音楽を学習して出来上がっているものなので、分析すると意外と作曲の勉強になったりします。
本記事ではAI作曲で作られた楽曲の音楽理論的側面を分析していきます。
flehmen の「ファンク肉球」は、ファンク特有の高揚感をもつ一曲です。ですが、その骨格をなすコード進行は、意外なほど単純です。本稿では、単調になりかねない進行が、いかにして"化ける"のかを分析します。鍵は「経過コード」とリズムにあります。
骨格は、きわめてシンプルです
本曲のコード進行は、一見すると複雑に見えます ― Ⅵm Ⅰ Ⅰ♯dim→Ⅲm Ⅲ♭ Ⅱm→Ⅱm Ⅱm Ⅲ→Ⅵm。ですが要点を抜き出せば、その骨格は Ⅵm→Ⅱm→Ⅱm→Ⅵm という、四つの和音の往復にすぎません。骨格だけを鳴らせば、単調な反復にとどまるでしょう。
「経過コード」が単調さを解く
本曲を活かしているのは、骨格の和音と和音の「あいだ」に差し込まれた経過コードです。
【ワンポイント】経過コードとは何か
経過コード(パッシングコード)とは、二つの主要な和音をなめらかに接続するために、その間に挿入される和音をいいます。多くは半音階的な動き(隣り合う音への移動)を生み、進行に推進力と滑らかさを与えます。本曲に現れる Ⅰ♯dim(パッシング・ディミニッシュ)はその典型で、和音を半音ずつ滑らせることで、単純な往復に表情を与える古典的な手法です。
骨格 Ⅵm→Ⅱm の単純な移動に、こうした経過コードを差し込むことで、進行は充実し、聴感上の単調さが解消されます。さらにファンク特有のリズム ― 細かく刻まれるバッキング ― が加わることで、和声の「あいだ」の動きが際立ち、独特の気持ちよさが生まれます。
制作上の意図として
本曲は prompt-jukebox によるスタイル設計と SUNO による生成を経て制作しています。注目すべきは、骨格を単純に保ちつつ、経過コードとリズムで充実させるという、ファンクの定石に忠実な設計がなされている点です。「単純な骨格を、間(あいだ)の処理で化けさせる」 ― この判断が、本曲の高揚感を支えています。
結
「ファンク肉球」を聴く際は、和音そのものよりも、和音と和音のあいだの動きに耳を向けてみてください。単純な骨格が化ける瞬間が、聴き取れるはずです。
いかがだったでしょうか?
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リュウタロウ先生のAI作曲教室 / created by prompt-jukebox

