音楽理論 ②トライアド(三和音)編 コードネームを読めるようになろう -楽に音楽をしたいなら必修!-

こんにちは。
意識低い系ミュージシャンの龍ちゃんです。
とにかく楽に音楽をする」をモットーに、音楽に役立つ情報を発信しています。

今回の記事は音楽やるなら必修の「コードネームの読み方解説編」第二弾です。

コードネームを読んでいくには順を追ってポイントを押さえていく必要があります。
前回の「ルート」の記事を理解できた人が対象になっているので、「ルートが何かわかって、コード譜を見てルートを追いかけることはできる」という基準をクリアできていない方は、今一度ルートと音名に対する理解を焦らず深めてください。
また音程に関しても、自信のない方はこちらを読んで復習しておいてください。
音楽を楽にするには「音程」を知るべし!

音楽の専門用語を理解するには他の専門用語をきちんと理解しておく必要があるので、焦らずいきましょう。

目次

前回の復習+今回の導入

コードネームにおいてまず宣言されるのは「ルートがどの音か」ということになります。
CならCがルート、DmならDがルート、F#dimならF#がルートです。
どんなに長ったらしい文字がそのあとについていたとしても、ルートは最初に宣言された音になります。(例外はオンコードのみ)

では、そのあとに続くコードネームはどのような法則で決められているのでしょうか?

何度も述べているように音楽の本質は音と音の距離で、コードとはその距離を抽出して名前をつけたものです。
つまり、ルートを基準にどのような距離、音程が重なっているかを示したものがコードネームです。

例えばFmというコードネームは、「Fというルートの上にマイナーという距離の集合体が積み重なっている」という意味になります。
ここの記事を含めて三本では、ルートの上にいかに音が重なるかということを順を追って解説していくことになります。

本題に行きましょう。
今回解説するのは、コードの情感を決定づけるトライアドという構造です。

トライアド

トライアドとは日本語にすると「三和音」、つまり、三種類の音が同時になっている和音のことです。
このうち一つは重要な音であるルートになりますが、三つの音のうちルート含まれてさえいればあとの二つが何の音であれトライアドになる…というわけではありません。

端的に説明すると、「ルートからみて一度(ルート)、五度、三度の音の三和音」がトライアドです。
つまりルートから見て一度、六度、七度だったり、一度、二度、四度、とか重なっていても、トライアドではないということです。

ここで重要なのが、「五度、三度」という部分。
つまり、それぞれに対し「完全五度、増五度、減五度」「長三度、短三度、および三度から変化した音」これらの可能性すべてを含んでいるということです。

とはいえ五種類押さえておけば問題ありません。

(しつこく繰り返しますが、音楽の本質は音と音の距離にあるので、「この五つ」というのは、「この五つのコード」という意味ではなく、「この五種類の距離の取り方」という意味です。「C、Cm、Cdim、Caug、Csus4」を覚えればいいというわけではないことに注意。)

順番に解説していきます。

1、メジャー、マイナー

Cの音源

Cmの音源

最も使われる頻度が高い二つのトライアドが、これら「メジャー、マイナー」です。
二つの差がどこかを知るには、「三度」の部分に注目してください。
メジャーコードは「長三度」、マイナーコードは「短三度」になっています。
この二つをそれぞれ英語にするとそのまま「メジャー3rd」「マイナー3rd」になります。
ここの差が名づけにかかわっています。
一方、五度はどちらも「完全五度」で共通ですね。

また、二つの名前と読み方を見ると一つ疑問が生じる点があります。
マイナーはしっかり「ルート音+m(マイナー)」という名付けがされるのに対し、メジャーはルートの音のみを示されます。
これは、ちょっとでも情報が少ない方が読みやすいという単純な理由からです。
わざわざ書く場合は「ルート音+M(メジャー)」という書き方がされます。
major,minorのどちらも頭文字がMなので、小文字と大文字で区別をつけます。

聴いた感じだと、メジャーはマイナーに比べて明るい感じ、マイナーはメジャーに比べて暗い感じがします。
このことは学校の音楽の授業などでも教わるレベルの有名な理論かもしれません。
が、あくまで大事なのは前後の文脈の中でのふるまいであって、単品だけをみて「明るい・暗い」を判定することにはあまり重要な意味はありません
例えば暗い曲を作りたいときはマイナーしか使っちゃいけない、とか、そういったことは一切ないのです。

次からのトライアドを見ることでその実感が強まると思います。

2、dim(ディミニッシュ)

こちらはディミニッシュと呼ばれる種類のトライアドです。
五度と三度は「減五度と短三度」の組み合わせになっています。
先ほどのメジャー、マイナーは五度が完全五度で共通していたのに対し、今度は五度が変化しました。
ディミニッシュとは「減る」という意味。減っているのは五度です。

単品で聞いた感じだとなんだかよくわからない響きですね。
それ以外の感想はあまり生まれず、明るいのか暗いのかもわかりません。
単品でコードの響きを評価することにはあまり意味がないということがこのコードを例にするとわかりやすいと思います。
しかしきちんと前後の文脈があるとその美しさがわかるのです。
細かいメカニズムはおいておき、ディミニッシュを使った音源を聞いてみてください。

前半の動きを、ディミニッシュを使ってアレンジしたのが後半になります。
単品の時の響きとは違ってしっかりきれいに聞こえますよね。

(厳密にいうとこのディミニッシュは役割的にはマイナー♭5、つまりマイナーコードの完全五度がフラットしたという説明が正しいのですが、便宜上この二つは度々同じ名前で呼ばれます。この点非常にややこしいのですが、とりあえずその二つは同じ音使いなんだなという認識で大丈夫です。)

【余談(重要)】ダイアトニックコードについて

とにかくコードネームの読み方を知りたいんだ!

という方は読み飛ばしてもらっても構いませんが、音楽理論を学ぶのには大切な話です。
ここまでのメジャー、マイナー、ディミニッシュにはある重要な共通点があります。
それは「ダイアトニックコードを構成する和音である」ということです。

ダイアトニックコードとはスケール(ポップスではメジャースケールのみと考えてよい)に存在する七種類の音それぞれをルートとし、その上にスケールに含まれている音のみで「五度、三度」を重ねたトライアドのことです。

つまり「CDEFGABC」というCメジャースケールの並びがあったとして、長とか短とか減は考えずに、「C+E+G→C」「E+G+B→Em」など、一個飛ばしで重ねていくことで出来るコードです。
(単体の音名とコードネームがごっちゃにならないように注意)

ダイアトニックコードはコードネームとは別に数字で示されることが多く、その際は、それぞれのルートがそのダイアトニックコードのもとになったメジャースケールで何番目か、というのがⅠからⅦのローマ数字で表されます。

キーを変えたとしても、構成される距離が一定のまま基準がずれるというだけなので、どんなキーにおいてもⅠⅣⅤはメジャーコード、ⅡⅢⅥはマイナーコード、Ⅶがディミニッシュになります。
これは覚えておくとキー判定などに役立ちます。

一般的な音楽理論においてはマイナーのダイアトニックコードはⅡm、Ⅲm、Ⅵmなど、マイナーをつけて表記されるのですが、私の書くダイアトニックコード分析記事などでは逆にⅡⅢⅥがメジャーの場合のみⅡM、ⅢM、ⅥMとあえて表記します。
これは、ダイアトニックコードはダイアトニックコードとして独立した意味を持っていることをわかりやすくするためです。

なぜⅦだけがディミニッシュになるのかということを少し掘り下げます。

基本的にメジャースケールにおいて五度をとると完全五度になるのですが、「七、八(一)、二、三、四」と数えて五度をとる七音目と四音目だけは減五度の音程なので、スケールの七音目をルートにしたダイアトニックコードⅦは、ディミニッシュになるのです。
(表記はm7-5とされることが非常に多いです)

なぜこういいきれるのかというと、これもまた繰り返しになりますが、「メジャースケールの音の並びがそう決まっているから」です。
距離が本質なので、キーが変わったとしてもその中身の距離あらゆる距離の情報も当然変わりません。
七と四が減五度というのはメジャースケールが由来の距離の情報なので、親であるメジャースケールがどこかへ動いても変わらないのです。

この減五度の妙な音程というのは実は音楽において非常に重要な意味を持っているのですが、とりあえずいまは「Ⅶだけはディミニッシュなのだな」と覚えてしまいましょう。次から紹介していくトライアドに関しては、ダイアトニックコードには含まれません。少々使う場面やその分析が難しいものになってきます。

3、aug~オーギュメント

こちらはオーギュメントと呼ばれる種類のトライアドです。
五度と三度は「増五度と長三度」の組み合わせになっています。
かなり不安定な響きですね。
上で述べた通り、ダイアトニックコード由来のコードではないので、成り立ちがかなり特殊です。
これのメカニズムに関しては独立した記事を書く必要があるので、とりあえず「そういうもん」で理解を終わらせておいて大丈夫です。
使えるようになると特殊な雰囲気を演出するのにかなり役立ちますが、出てくる頻度や文脈的にもわかりづらいコードです。
上級者向けです。

また既存の音楽理論レクチャーの文句になってしまうのですが、多くの場合このオーギュメントはディミニッシュと並んで「不安定な響き」というグループで語られることが多いです。
しかしこれは全く無意味なグループ分けで、両者の間にはダイアトニックコードに含まれるか否かという決定的な違いがあります。

4、sus4

こちらはsus4と呼ばれる種類のトライアドです。
これをトライアドと呼んでいいのかは今までの例と照らし合わせると疑問に感じるところがあります。
というのも、「五度、三度」で重なっているわけではないからです。
sus4の構成音は、ルート、完全四度、完全五度の三つです。
なぜそれでもトライアドといえるのでしょう?

実はこの完全四度は「三度が変化した」音なのです。

susとはsuspendedの略です。
これが「吊られた」という意味なのです。
「サスペンダー」はヒモでズボンなどを吊るためのものですよね。
四度の音というのは実は三度に落ち着きたがる性質を持っています。
いわば上から「落ちて来たがっている」ものが吊られているのがsus4です。

またsus2というものも存在します。
こちらは構成音がルート、完全二度、完全五度の三つ。
こちらも四度よりは弱いですが二度が三度に行きたがっているのを吊っている状態のコードです。

実際の曲の中では二パターンの活用法が存在して、
吊っている音をその後三度に落とす方向性で使うものと、②吊ったままその響きを利用するものがあります。

吊っていたものを落とす、つまり着地感の演出になります。
いわれてみれば聞いたことあるという人も多い動きでしょう。
一方こちらが、吊られている音を三度には持っていかずに、その響きを神秘的なものとして利用するパターン。

実はルートからの完全四度は、ひっくり返すと完全五度になります。
(この音程をひっくり返すという発想に関してはこちら)つまりsus4とは、三度が変化した結果、もとの三度とは関係なしに、完全五度が二種類鳴っているいるコードとみることができるのです。
完全五度の重なりというのは宇宙的、神秘的な響きを感じさせますので、それをそのままモチーフとして曲に使えます。
前後の文脈があって響くコードに対し、こちらはコードの響きを単品で切り出して使うケースになります。

コードの由来がいかに理論的なものであれ、あえて単品の響きを評価するということにも分析の余地があるということは覚えておきましょう。

こちらもダイアトニックコードのグループとは切り離されている、という認識が大事になってきます。

まとめ

トライアドの実践練習は非常に重要かつ内容がかなり大きいので、別記事に独立させました。
そちらを実践して、トライアドに関する理解を深めてから次のステップに進むことをお勧めします。
解説編の次はより理論的な内容に近づくセブンスについての解説です。

用語解説に関する記事をもっと読む

記事が見つかりませんでした。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次