ギターの練習を始める際は各弦の音程を正確に整える「チューニング」が必須になりますが、チューニングは難しいと感じる方も多いでしょう。
しかし、チューニングを最初にしっかり覚えておくことができればこれからギターを続けていく時もスムーズに練習を行うことができます。本記事を読んでギターのチューニング方法をマスターしましょう。
ギターのチューニングとは
ギターのチューニングは、各弦の張り具合を調整して正確な音程でギターを演奏できるようにするために行います。ギターはとても繊細な楽器のため、気温の変化や時間の経過などによって弦の張り具合が少しずつ変化して音程がずれることも。そのため、チューニングを行わずに演奏を始めてしまうと、弦を正しくおさえていたとしても音程が外れてしまいます。
また、ギターのチューニングをしっかり行うと自分の音感も鍛えられるため、音程とのずれ方が感覚で分かるようになります。慣れてくると演奏中にギターの音が少しずれた時もすぐに気づいて、チューナーを使わなくてもチューニングをすることができるようになるでしょう。そのため、しっかりと音感を身につけることができればギターの上達しやすくなるため、初心者のときから正しいチューニング方法を覚えることは重要です。
ギターは長時間演奏すると徐々に音程がずれていきます。演奏を始める前には必ずチューニングを行い、音程がずれてきたと感じたらこまめに調整するようにしましょう。
ギターのチューニング前に確認すること
・ギターの音階表記
ギターのチューニングに入る前に、ギターで用いられる音階の表記などの基礎知識を知っておきましょう。一般的によく知られている音階は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という表記ですが、こちらはイタリア語の音階表記です。
しかし、ギターの音階は「C・D・E・F・G・A・B」というアルファベットで記載されており、これは英語の音階表記となります。例えば「E」の音にチューニングしたい場合には「ミ」の音程に合わせます。なお、「A」が「ド」の音にあたるわけではない点に注意しましょう。
・各弦ごとにチューニングする音を確認
ギターのチューニングを行う時は弦ごとに基準にする音程を決めます。各弦の基準音は以下のとおりです。
弦 | 音階 |
1弦 | E(ミ) |
2弦 | B(シ) |
3弦 | G(ソ) |
4弦 | D(レ) |
5弦 | A(ラ) |
6弦 | E(ミ) |
はじめは、チューニングを行いながら上記の音階を覚えましょう。チューニングは各弦を開放弦(フレットを押さえずに弾くこと)で弾いた際に、上記の音が出るようにして行います。このチューニング方法は「レギュラーチューニング」と呼ばれ、多くの楽曲をこのチューニングで演奏することが可能です。
基本的なチューニング方法となっているため、まずはこのチューニングをしっかりとマスターしていきましょう。
なお、ギターのチューニングにはさまざまな方法があります。例えば、標準よりも低い音に調整する「半音下げチューニング」や「全音下げチューニング」、開放弦で弾いた際に特定のコードサウンドになるよう調整する「オープンチューニング」などです。
また、ライブ演奏の際、曲が変わるたびにギターを持ち替えて演奏する様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。中には曲ごとにチューニング方法を変えるギタリストもいます。まずはレギュラーチューニングを覚え、慣れてきたら他のチューニング方法についても調べてみてください。
・ギターチューナーを用意
ギターのチューニングを行う際には「チューナー」と呼ばれる機械を使用します。チューナーを使用すると、弦を弾いた時に出た音が、設定した音程からどれくらいずれているのかを画面で確認することが可能です。慣れてくると自分の耳でチューニングをすることもできるようになりますが、はじめは正確にチューニングするためにチューナーを用意しましょう。
チューナーにはさまざまな種類がありますが、手軽に扱えて安価に手に入る「クリップ型チューナー」が主流です。なお、チューナーの種類やおすすめのチューナーについては、後程ご紹介します。
ギターのチューニング方法
・チューナーを取り付けて弦を弾く
ギターのチューニング前に知っておくべき知識を確認した後は、実際にチューニングを行いましょう。まずは、先述したチューナーをギターに取り付けます。クリップ型チューナーの場合は、ヘッドの先端に挟んで取り付けることが可能です。
チューナーの画面が見える位置に調整して電源スイッチを入れて、調節したい音程に設定すれば準備完了です。
・6弦から順に弾いていく
ギターのチューニングは、基本的に一番太い弦である6弦から順に行います。フレットは押さえずに、右手の親指で6弦を弾きましょう。
ギターのチューニングをする際は、ペグを回して弦の張り具合を調整しますが、ペグを回すとわずかにネックが曲がっていきます。そして、ネックが曲がることによって他の弦にも影響が出て、音程が少しずつ変化してしまうことも。
そのため、最も張力の大きい6弦からチューニングを行うことで、他の弦への影響を少なくできます。
なお、チューニングを行う際は他の弦の音が鳴らないように注意してください。他の弦からも音が出てしまうと、チューナーが音程を正確に計測することができません。そのため、6弦を弾く時は、右手の人差し指や中指で他の弦に触れておき、ミュートしておくことが重要です。
先述した表に記載したとおり、6弦の場合は「E(ミ)」の音に合うようにチューニングします。その後、5弦は「A(ラ)」、4弦は「D(レ)」という要領で順にチューニングしていきましょう。
・ペグを回して音程を調整
弦を弾くとチューナーに音程が表示されます。6弦の場合はチューナーの画面を確認し、メーターの針がちょうど「E(ミ)」の位置にきていればチューニング完了です。
メーターの針が「E(ミ)」よりも左を指している時は音程が低く、右を指していれば音程が高いということになります。この場合は、6弦のペグを回すことによって、音程を調整しなければなりません。ペグとは、ギターのヘッド部分についているツマミのことです。これを回すことによって弦の張り具合を調整することができます。
ペグは回す方向によって音程が上下しますが、時計回りに回すことで音程が低くなり、反時計回りに回すと音程が高くなります。なお、アコースティックギターなど、ペグが両側についているギターの場合は「ギターを構えた時に、自分から見て反対側にあるペグは回す方向が逆になる」という点に注意してチューニングを行ってください。
この要領で6弦から順にチューニングを行っていき、1弦まで終えたらギターのチューニングは完了となります。
ギターのチューニングを行う際のコツ
・演奏する際と同じ姿勢でチューニングする
先述に記載した手順でチューニングを行う方の中には、はなかなかチューニングが上手くいかずに悩む方もいるでしょう。ここからは、ギターのチューニングをする際におさえておくべきコツを紹介します。
まず、ギター初心者の方の中にはギターを寝かせたままチューニングを行おうとしていることがあります。ギターは向きを変えると重力の影響でチューニングにズレが生じてしまうため、演奏する際に音程にズレが生じてしまうことも。
そのため、ギターのチューニングをする際は、本来演奏する際と同じ姿勢でチューニングを行うことを徹底してください。
・音程を徐々に上げながら合わせる
ギターのチューニングを行う際は、音程を低い音から徐々に高くすることを意識しましょう。ギターの弦は緩めながらチューニングを行ってしまうと、弦のたるみや引っかかりが発生して正確にチューニングをすることが難しくなることがあります。
また、音程が合わない場合は、基準音よりも音程を下げて、徐々に上げながら音を合わせてください。この手順でチューニングを行うとスムーズにチューニングできます。
・弦を何度も連続で弾かない
ギターのチューニングがうまくいかない方の中には、弦を何度も連続で弾いてしまっているケースがあります。ギターの弦を弾いた直後は、音程がわずかに高くなる傾向にあるため、弦の振動が落ち着くにつれて正しい音程に変化していきます。
しかし、チューニングの際に弦を何度も連続で弾いてしまうと、チューナーに表示される音程が少し高くなってしまうことがあるため、結果的に基準音よりも低い音程でチューニングしてしまう場合があります。
そのため、弦を一度弾いてチューナーを確認し、針が安定するのを待ってからチューニングを行うようにしましょう。
・弦を弾く際の力加減に注意
先述で記載したとおり、ギターの弦を弾いた直後はわずかに音程が高くなり、時間の経過によって本来の音程に落ち着きます。また、弦を弾く力が強ければ強いほど音程も高くなってしまい、正しい音程との差が大きくなってしまうことも。
そして、弦を弾く力が強すぎると、正しい音程に落ち着くまでに時間がかかり、チューニング自体の完了も遅くなってしまいます。チューナーが認識できる程度の音量が出ていれば問題ないため、チューニングを行う際は弦を弾く力加減にも注意するようにしてください。
・ペグの位置を確認して少しずつ回す
ギターのチューニングに慣れるまでは、弦に対応しているペグがきちんと合っているかを確認しながら行いましょう。ギター初心者の中には6弦のチューニングを行っている時に音程が合わず、5弦のペグを回しているというミスをしてしまう方もいます。時間をかけてチューニングを行う中で、別の弦のペグを回し続けると、弦が切れてしまうという事故にもつながるため、回す前にしっかりと確認しましょう。
また、ペグを一気に回してしまうと、ギターの弦が切れてしまうという場合もあります。ギターはペグを少し回すだけでも音程は変わるため、少しずつ回しながら音程を調整することを意識してください。
・ギターのチューニングは2回以上行う
6弦から1弦までチューニングを終えたら、いきなり演奏に入るのではなく、再び6弦からチューニングを行いましょう。先述に記載したとおり、ペグを回して音程を調整すると、少なからず他の弦にも影響が出ます。そのため、もう一度6弦の音程を確認すると、チューニングをしたはずなのに音程がずれているという場合も少なくありません。
そのため、ギターは1回のチューニングですべての弦の音程を正確に安定させることは難しいといえます。1回チューニングをしたらチューニングを終わらせず、本当に正確な音程になっているか確認するために6弦から1弦までのチューニングを2回以上行うことも大切です。
ギターのチューニングが合わない時の対処法
・合わせたい音程を再度確認する
ギターのチューニングを行っていると、6弦を「E(ミ)」の音に合わせられず、音程が低すぎて「D(レ)」と表示されてしまう、といったような「合わせたい音と全く違う音がチューナーに表示される」ケースがあります。
この場合、本来合わせたい音よりも半音〜全音分低くなっていることが考えられます。そのため「E(ミ)」と表示されるまで音程が高くなるように調節すれば問題ありません。ギターの練習を通して音階をしっかり覚えておくことで、混乱せずスムーズにチューニングを行えます。
「音階を勘違いしてしまい、ペグを回し続けていたら弦が切れてしまった」という失敗を防ぐためにも、都度、出ている音の高さを確認しながらチューニングをすることを心がけましょう。
・チューナーの表示が正常か確認する
チューナーの表示は商品によって異なるのはもちろん、チューナーにはさまざまなボタンや、複数の機能がある場合があります。使い始めは違うボタンを押してしまい、ギターのチューニングができない表示になっていないか確認してからチューニングを行いましょう。
一般的なチューナーは「Guitar」もしくは「G」というアルファベットが表示されていれば、ギターのチューニングモードになっています。また、右下にHz(ヘルツ=周波数)が表示されている場合、440Hzに設定しましょう。基準音である「A(ラ)」を、440Hzに合わせて演奏することが一般的です。
ただし、チューナーの機種によって表示される内容は異なります。事前に取り扱い説明書をよく読み、使用方法を確認するようにしましょう。
ギターチューナーの主な種類
・クリップ型チューナー
ギターのチューニングはチューナーという機械を使いますが、多くの種類の中から、どれを選べばいいのか分からずに困っている方も多いでしょう。チューナーは、ギターを続けていくうえで頻繁に使用する機械のため、自分が使いやすいものを選ぶことが重要です。ここからは、ギターのチューニングに使用するチューナーの主な種類を紹介します。
はじめに紹介するクリップ型チューナーは、ギターのヘッドにクリップで挟むことによって使用するチューナーです。ケーブルに接続する必要がなく、手軽に扱えるのが特徴です。アコースティックギター、エレキギターのどちらにも対応することができることにくわえて、サイズもコンパクトであるため持ち運びにも便利で人気となっています。
また、クリップ型チューナーは「音の振動」を拾うため、周囲で他の音が鳴っていてもチューニングを行うことができるのがメリットです。価格も比較的安価なものが多く、シーンを問わず使用することができます。これからギター用チューナーを購入したいという方におすすめのチューナーといえるでしょう。
・カード型チューナー
カード型チューナーは、手のひらサイズの大きさで本体にマイクが内蔵されているタイプのチューナーです。カード型のチューナーは、液晶表示のタイプとアナログ針のタイプのものがあり、クリップ型チューナーが登場するまでは、このカード型チューナーが主流でした。
チューナー本体の内臓マイクを使ってチューニングできますが、周囲の音も拾ってしまうため、静かな場所でなければ正確にチューニングすることはできません。また、エレキギターのチューニングを行う場合は、シールドでギター本体を接続して使います。
・ペダルチューナー
ペダルチューナーは、スイッチを足で踏むことによって操作するタイプのチューナーで、スタジオやステージなどで足元に設置して使用します。ペダルチューナーは暗い場所でも画面が見やすいため、ライブなどでよく使用されることも多いのも特徴です。
チューニングしたい場合はワンタッチで使用できますが、シールドでつなげて使うため、アコースティックギターには非対応です。また、電池の消耗が激しいことから電源に接続して使用することが推奨されているため、手軽に使うのが難しいと感じる方も多いでしょう。
しかし、ライブの際はステージの照明に左右されず使える非常に便利なチューナーとなっているため、必要に応じて購入を検討すると良いでしょう。
・スマートフォンアプリ
ギターのチューナーは、AndroidやiPhone用のアプリでリリースされています。「ギターチューナー」で検索すると複数のアプリが表示され、多くのアプリを無料でダウンロードすることができます。
有料のアプリでも数百円程度から購入できるため、手軽にチューナーを試してみたいという方はダウンロードしてみてはいかがでしょうか。また、チューナーを忘れた時の予備としてダウンロードしておくのもおすすめです。
おすすめのクリップ型チューナー3選
・tc electronic「UNITUNE CLIP」
ギターのチューナーにはさまざまなタイプがありますが、そのなかでも「クリップ型チューナー」は主流で、手にとりやすい価格の商品が多いのが魅力です。クリップ型チューナーはギターのヘッドに取り付けるだけで使えることからシーンも選ばないため、初めて購入するギターチューナーとしておすすめとなっています。
クリップ型チューナーにも多くの種類があります。買い替えや新たに購入するのに迷った方は、以下の人気商品から選んでみましょう。
はじめににおすすめするクリップ型チューナーは、tc electronicの「UNITUNE CLIP」です。高出力LEDを108個搭載している「超高輝度ディスプレイ」を採用しているため、暗所でも視認性が高く、素早くチューニングを行うことができます。
また、画面の表示も大きいため、チューニングをしていて画面が見えづらいというストレスが少ないのも魅力。取り付ける向きによって自動的に表示が切り替わる「アダプティブディスプレイ」にもなっているため、手元が見にくいステージでもスムーズに装着できるチューナーを探している方にもおすすめです。
クリップは樹脂製が一般的ですが、こちらのチューナーはステンレスの金属製となっているため、経年劣化による故障のリスクも少なくなっています。さらに、ストロボモードでは±0.02セントという超高精度のチューニングを行うことが可能な、高性能のチューナーです。
※こちらにポチップを追加
・D’Addario「Eclipse Tuner PW-CT-17BK」
弦のメーカーとして有名なD’Addario(ダダリオ)からも、高性能なチューナーが発売されています。こちらの「Eclipse Tuner PW-CT-17BK」は、約2,000円という手にとりやすい価格でありながら、素早く正確にチューニングを行えるチューナーとして人気のモデルです。
駆動部分が2箇所あるため、上下左右に調整して自分の見やすい角度にセッティングすることができます。
また、ギターのヘッドの裏表どちらにも取り付けることができる仕様になっているため、左利き用のギターでも使用することが可能です。全6色という豊富なカラーバリエーションも魅力。自分のギターのカラーに合うものを選んでみてはいかがでしょうか。
※こちらにポチップを追加
・KORG「AW-LT100G」
日本のメーカーであるKORGが、ギター専用モデルとして開発したチューナーが「AW-LT100G」です。色鮮やかなカラーLCDで視認性が高く、スイッチも操作しやすいため、初心者の方にもおすすめのチューナーとなっています。価格も約3,000円程度のため、比較的手に入れやすいチューナーです。
また、こちらのモデルは単四電池を使用しますが、電池1本で連続100時間使用できるのもメリットです。ストロボモードであれば±0.1セントという高精度チューニングを行うこともできるため、細かな調整までしっかり行うことができるでしょう。
※こちらにポチップを追加
まとめ
今回は、ギターのチューニング方法や知っておきたいコツ、チューニングの注意点などについて解説してきました。
チューニングはギターを続けていくうえで非常に重要な工程です。また、チューニングをしっかり行うことができれば、自然と音感も身についてくるため、ギターの上達にもつながるでしょう。ぜひ今回の記事を参考にしながら、正しいチューニングの方法を身につけてください。
※価格はいずれもAmazonの2023年10月時点のものです。