効果的なピアノの防音対策とは?注意すべきポイントや自宅ですぐに実践できる方法も紹介

自宅でピアノを練習したくても、音漏れや近隣の迷惑が心配な方も多いのではないでしょうか。防音室で弾くことができれば問題ありませんが、工事や予算の都合で防音室を作ることが難しい場合もあるでしょう。そこで、本記事ではピアノの防音対策について詳しく解説していきます。簡易的ですぐに実践できる対策方法も紹介していますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

目次

ピアノの防音対策をする前に知っておくべきこと

・ピアノの音の大きさ

ピアノの音量は、約90~110 dB(デシベル)とされています。これは地下鉄の騒音と同等の音量であり、非常に大きいといえるでしょう。他の楽器と比較すると、バイオリンやギターの音量が80~90dBのため、ピアノの音量はそれよりも大きいということになります。

また、集合住宅などでピアノを演奏する場合、一般的な木造住宅では約65 dB、鉄筋コンクリート造の住宅では約50 dBに音量が下がるとされています。これは住宅の遮音性能によって異なりますが、家庭内でのピアノの使用には十分な防音対策が必要です。

グランドピアノとアップライトピアノの音量に関しては、両者の音量に大きな違いはないとされています。ただし、グランドピアノは音が上下に抜けやすく、アップライトピアノは前面がパネルで覆われているため、演奏者側は音が小さく聞こえることがあります。

ピアノの音量の大きさを考慮すると、特に集合住宅での使用に際しては、近隣住民への配慮や防音対策が非常に重要といえるでしょう。

・ピアノの音の伝わり方は2種類ある

ピアノの音の伝わり方には、空気を介して伝播する「空気伝搬(くうきでんぱん)」と、ピアノの脚から床や壁を介して伝わる「固体伝搬(こたいでんぱん)」の2種類が存在します。

ピアノの防音対策を考える際、主に空気伝搬に注目しがちですが、固体伝搬も重要です。特にピアノのような重量がある楽器の場合、脚からの伝達は音が建物全体に広がる原因となります。

したがって、ピアノの防音対策を行う際には、これら2種類の伝播方法への対策が必要です。例えば、窓の二重サッシ化だけでは不十分に感じることもあり、ピアノの足からの振動が建物に伝わることで、壁や床を振動させることがあります。効果的な防音対策を行うためには、空気伝搬と固体伝搬の両方を考慮する必要があることを理解しておきましょう。

ピアノの防音対策におけるポイント

・音色の変化に注意

ピアノの防音対策を行う時は、音質が変化する可能性があることを視野に入れる必要があります。例えば、浴室で歌うとリバーブ効果によって歌が上手に聞こえるように、ピアノも、部屋で反響することによって演奏が良く聞こえることがあります。

しかし、防音室などの閉鎖空間では、防音効果を高めるために音の反射が抑制される構造となっています。結果、ピアノの音が十分に響かない場合があるのです。防音室を作りたいと考えている方は、ショールームなどに足を運び、実際にどのような音の響きになるのか確認しておくことをおすすめします。

・予算

ピアノの防音対策にかかる費用は、防音対策を施す位置によって大きく異なります。音源に近い場所で防音対策を行うほど、費用は低く抑えられます。一方、音源から離れた場所での防音対策は、より広範囲での対策が必要となるため費用が高くなるのです。

例えば、ピアノの近くで行う防音対策には、音が床に伝わりづらくするための防音インシュレーターや防音マット、防音カーテンなどがあります。これらは比較的安価で、費用は数万円程度で取り入れることができます。

一方、ピアノから離れた場所での防音対策には、ユニット式防音室の設置や部屋全体の防音工事などがあります。例えば6畳程度の部屋で防音対策を施す場合、ユニット式防音室は約150~200万円、部屋全体の防音工事は300万円以上が目安です。

・防音のレベル

防音の手段はさまざまなものがあり、外部への音漏れを抑える簡易防音から、外部に音が全く漏れない完全防音までのレベルのものまで選べます。そのため、必要となる費用も大きく異なります。

先述のとおり、音源に近い場所で防音対策を施す場合、費用面では有利ですが、ピアノ自体の音色に大きな変化が生じる可能性があります。一方、部屋全体に防音工事を施す場合、費用は高くなりますが、ピアノの音色に与える影響は最小限に抑えることが可能です。

このように、防音対策ひとつを見ても求める効果によって費用やピアノの音色が変わる場合があります。総合的なバランスを考慮し、自分にとって最適な防音対策を検討していきましょう。

ピアノの防音対策グッズ

・消音ユニット

消音ユニットとは、ピアノに取り付けることでヘッドホンやスピーカーから音を出すことができる機材です。音量の調節ができるため、夜間に自宅練習をしたい場合にも、周囲を気にせず演奏することができます。また、消音ユニットをOFFにすることで通常どおりの演奏も可能であり、時間帯によって音量を調整したい方におすすめです。

消音ユニットは10万円程度で販売されていますが、ピアノの種類や状態によって取り付け費用が変わることがあります。また、一部のピアノには取り付け不可の場合があるため、取り付けできるか事前に確認しておきましょう。

・ピアノパネル

ピアノパネルをアップライトピアノの背面に設置することで、壁に伝わる音を軽減することが可能です。ピアノの反響音を吸収する効果があるため、音漏れの防止や、まとまりのある聴きやすい音に変化させてくれる製品もあります。2~8万円程度で購入することができることにくわえて、設置も簡単な防音対策です。

・ナイトーン

ナイトーンとは、ピアノの音量を小さくできるマフラーのことを指します。多くのアップライトピアノにはマフラーペダルがついており、これを使うことでピアノの音量を下げることが可能です。しかし、マフラーペダルを使うと、ピアノのタッチ感が変わったり、音色が濁ったりする場合があるという欠点があります。

そこでナイトーンを取り付けると、普段と同じ感覚のまま、音量を抑えた状態で演奏することができるようになります。費用の目安は、アップライトピアノで約20万円程度、グランドピアノで約30万円程度かかります。

・防音インシュレーター・防音マット

防音インシュレーター防音マットを使用することで、床に伝わる振動を軽減することができます。防音インシュレーターは、ピアノの足元に装着することで、下の階に伝わる音を抑えます。また、ピアノの横すべりを防ぐ効果もあるため、地震対策としても効果的です。

さらに、防音インシュレーターと防音マットを組み合わせることもできます。防音マットには断熱効果がある製品もあるため、床暖房がついている部屋の場合でも安心です。費用は約1~3万円程度となっており、比較的手軽に防音対策を施すことができます。

まとめ

今回は、ピアノの防音対策に関する基本的な知識や注意すべきポイント、効果的なピアノの防音対策グッズなどについて解説しました。ピアノの防音対策にはさまざまな種類があり、自宅や周辺の環境、目的や予算によって適切な方法は異なります。また、防音対策によってピアノの音色が変わることもあるため、どのような響きになるのか事前に確認することも重要です。ぜひ本記事を参考にしながら、快適に演奏できる防音対策を検討してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次