ギター学習の過程で、多くの人が「スケールを覚えられない」「スケールは難しい」と感じたことがあるはず。私も若い頃、同じ壁にぶつかりました。しかし長年ステージやレコーディングを重ねてきた今、スケールは“覚えるもの”ではなく“使いこなすもの”だと実感しています。この記事では、なぜスケールは覚えにくいと感じるのか、そしてどうすれば「ただ丸暗記」せずに、実践的に使えるようになるかを、現役プロギタリストの視点で解説します。
🎯 なぜ「覚えられない/難しい」と感じるのか?
・スケールの種類が膨大である
ギターで使われるスケールは多種多様。メジャー/マイナー、ペンタトニック、モード(ドリアン、フリジアン、リディアンなど)、さらにはハーモニックマイナー、メロディックマイナー、ホールトーン、ブルーススケールなど……。これだけ種類があると、「全部覚えなきゃ」と思うと圧倒されます。
・理論が先行してしまう
スケールは「全/全/半/全/全/全/半」といった“規則”(インターバル構造)で語られるため、最初は理屈ばかりが先行。指板上でその理屈を再現しようとすると混乱しやすく、「難しい」と感じがちです。
・単なる丸暗記になりやすい
タブ譜や指板図をただ覚えるだけでは、「形として覚える」だけ。実際の演奏で応用するには、音の感覚やコード進行との関連性が必要ですが、それを飛ばしてしまうとスケールが“役に立たない記号”になりかねません。
✅ 「覚えられない」を「使える」に変えるための3つのステップ
1. 基本のスケールに絞って、まずは“音”を覚える
最初から全部覚えようとせず、まずは基本のスケール――例えば メジャースケール や マイナーペンタトニックスケール のようなシンプルで汎用性の高いスケールに絞るのがおすすめです。これだけでも十分に多くの曲やフレーズで使えます。
2. 指板図やタブ譜だけでなく「耳」と「身体」で覚える
ギターでスケールを弾きながら、同時に声に出したり(ドレミなど)、歌ってみたりすることで、“音程の感覚”を身体に覚え込ませましょう。頭で理論を追うだけより、実践的に身につきやすくなります。私自身、このやり方で指板とサウンドの距離感を体に叩き込んできました。
3. 実践(コード進行・曲)に落とし込む — スケールは“道具”として使う
覚えたスケールを、ただ上下に弾き流すだけでは意味が薄い。むしろ、コード進行に合わせてスケールを選び、ソロやリフ、メロディを組み立てることで、スケールは“演奏の武器”になります。実践で使うことで、初めて“覚えた知識”が“自分の経験”になります。
🧠 私が実践してきた「スケール攻略のルーティン」
- まずはメジャースケールまたはマイナーペンタを1日10分、指板図と耳(声)で練習。
- 翌日は別のキーで同じポジションをなぞって、キー移動に慣れる。
- そのスケールで短いフレーズを作って歌ってみる。
- バッキングトラックやコード進行の曲に合わせて、即興ソロを試す。
- できたフレーズを録音・再生 → 気に入れば次の練習で反復。
このサイクルを半年ほど続けたことで、「スケール=暗記すべきもの」から「スケール=アイデアを生む道具」に変わりました。
🌟 まとめ — スケールは「覚える」ものじゃない、「使う」もの
ギターを弾くうえで、スケールは確かに最初は「覚えられない」「難しい」と感じるかもしれません。しかし、“量”に圧倒される必要はありません。まずは基本に絞り、「耳」「身体」「実践」でスケールを体感し、曲に落とし込む。このプロセスを続けることで、スケールは自然と“あなたの引き出し”になります。

