作曲入門! 音楽初心者のレベルアップには「相対的な見方」が大事!※音源解説あり

はじめに

こんにちは、意識低い系ミュージシャンの龍ちゃんです。
楽に音楽をする」をモットーに音楽に関する情報を発信しています。

今回は音楽をやるうえで最も大切なものの一つである、「相対的な見方」というものをお伝えしたいと思います。
この基本を知っていると知っていないとでは、作曲をはじめ音楽理論を学んでいく、ひいては楽に楽しく音楽をできるようになるためにかかる時間、労力が全く違ってきます。

相対的な見方とは、「ある基準に対してどうであるか」を常に意識するという見方です。

例えば、今目の前に現状としてとあるラーメンがあったとして、それに対して「もうちょっと塩入れたらおいしくなるかな」とか、「スープがあの店に比べて油多めだな」とか、様々な「差」を認識する能力が、相対的な見方です。

この「とある基準と比べて」という枕詞が音楽においては非常に大事になります。
理由をご説明します。

音楽で大事な「相対的な見方」

相対的な見方は、すべての領域で大事になってきます。

そもそも音楽というのは時間芸術です。
時間芸術とは呼んで字のごとく時間を演出する芸術のことです。
そのうえでどんなことが重要になってくるでしょうか?

次の二つの状況を想像してください。

  • 真っ白な何もない部屋で30分過ごす
  • ジェットコースターに30分乗り続ける

前者はただただ暇で、後者はものすごく疲れるという人が大半ではないでしょうか。

この二つの違いは、「起こっているイベントの激しさ」です。

例をもう一つ見てみましょう。

ホラー映画を想像してください。
ずっとお化けが出演している、もしくは5分毎にお化けが出てくるようなものは、見ていて冷めると思うひとが多いのではないでしょうか。
じらしにじらして絶妙なタイミングでお化けが出てくるという激しいイベントを起こすことで、初めてホラー映画としての演出が完成します。

何が言いたいかというと、「イベントの激しさをコントロールする」のが時間芸術である、ということです。「緊張」「弛緩」などと言ったりしますね。

なぜ「相対的な見方が大事」といえるのか、といいますと、緊張と弛緩というものそれ自体が、何かベースがあった上で成立するものだからです。

朝ベットで寝ている状態の五分後いきなりスポーツをするのは急すぎますが、ウォーキングやランニングなどのウォームアップをしたうえでは自然な流れになります。
この変化のベースになるもの、そしてそこからの変化の度合いを認識するという力が、時間芸術においては重要なのです。

作曲においては、とあるベースになる音楽の流れに対してどのような小技をどのような意図をもって用いていくかという考え方を用います。
基準の認識と、そこからの変化の認識、デザインが重要になってくるわけです。

ここまでを整理すると、

  1. 音楽は時間芸術である
  2. 時間芸術は緊張と弛緩を用いるものである
  3. 緊張と弛緩は何かしらの基準に対して発生することがらである
  4. 何かしらの基準に対しての状態を認識する能力→相対的な見方が大事!!

では緊張と弛緩の、音楽における具体例を見ていきましょう。

音楽における「緊張と弛緩」

詳しい説明は省きますが、「コード進行」を例にとります。

コードとは和音のことです。
和音をとある順番で鳴らすと様々なメロディを乗せられる伴奏パターンが生まれます。まずはこちらをお聞きください。

これは、一種類のC7というコードのみを鳴らした伴奏になります。
これでは当然緊張と弛緩が生まれません。
ここを基準として緊張を演出することではじめて、この基準が弛緩になり、初めて緊張と弛緩の組み合わせ、時間芸術が出来上がるわけです。

ずいぶん音楽らしくなりました。新しく追加されたF7というコードにより、緊張が演出されたのです。

一歩進んだ内容までお伝えします。
ここでは基準がC7に合わされているので、F7が緊張の役割を担います。
しかし基準がG7になった場合、C7は緊張の役割を担うことになるのです。
さらに、例えばD♭7が基準になった場合C7はほとんど使い物になりません。

ここまでで二種類の「相対的な見方」が出てきました。

  1. とある基準に対して緊張を演出するという意味での「相対的な見方」
  2. とある基準がそもそもどこにあるかを見定めるという意味での「相対的な見方」

1がコード進行に関するテクニカルな知識、2がキー判定のための総合的な知識、になります。

どうしても作曲を勉強する=コード進行を勉強するという先入観のために、コードネームで進行を覚えればそれでいいという認識になるのですが、それは実は危険な認識です。
具体例をご覧ください。

F→G→Em→Am

というコード進行が気に入ったとします。
このコード進行はJPOP進行といって確かに名曲を作りやすいコード進行なのですが、どんなメロディを載せても曲が成立するわけではありません。
このコード進行はキー:C(Am)という名のとある基準の上でのみ、JPOP進行として機能します。たとえばキー:F(Dm)の基準に合わせたメロディを載せてしまうとこのようになります。

聴きづらいですよね。
基準をしっかり合わせたこちらのほうが圧倒的に聞きやすいはずです。

こういった勘違いを防ぐためにコード進行は数字で書かれるのが正しい表記法になります。
この数字は「ダイアトニックコード」という概念にて示され、簡単にいうと「基準からどれぐらい離れているか」ということを表しています。

この例の場合、コード進行の表記は

キーCのⅣ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵ

となります。

コードネームという絶対的なものではなく、とある基準からの数字がコード進行を形作ります。
つまり相対的な見方が構成要素になっているのです。

いきなり様々な専門用語を使ってしまいましたが、詳しく説明するのはまた今度にします。
この記事でわかってほしいのは、とにかく

  1. とある音楽のそもそもの基準がどこかを認識する
  2. ある点における基準からの距離を認識する
  3. それがどんなニュアンスをもたらしているか(緊張か弛緩か)を認識する

ここまでがコード進行に関する学習においてのワンセットであるということです。
どれかが欠けると、全くトンチンカンなメロディを演奏したり、的外れなコードを演奏したりしてしまうことに繋がります。

コード進行を勉強したはずなのに曲が全然よく聞こえない…

見たいなことが起こります。

演奏にも役立つ!

また、作曲だけでなく、演奏するときもこの見方は役に立ちます。
世の中の楽曲というのは「定番のコード進行を小技でアレンジする」という発想で作られていることがほとんどです。
つまり「定番のコード進行」という大きな括りを一つの基準として採用し、その基準からどのようにアレンジしていくか、という考え方です。
ここでも相対的な見方を使って作られているのです。

その認識があると、ただコードを一つ一つ追いかける演奏から脱却できるのは想像できるのではないでしょうか。

F→G→Em→Am→F→G→C→Am→F→G→E7→F#Φ→F→G→C

こういったコード進行の羅列を見たときに、相対的な見方ができない人は、ただただ頭から「エフ、ジー、イーマイナー…」と読んで、その通りに弾いていきます。覚え方として非効率ですよね。

相対的な見方ができると、このコード進行の羅列をこのような情報でとらえることができます。

  1. キーCのJPOP進行を基調にしている。(基準の認識)
  2. 偶数セクションではCに解決して明るさを演出している。(相対的な見方による差の認識)
  3. 三番目ではF#Φへの解決で肩透かし感を演出している。(相対的な見方による差の認識)

どうでしょうか?
現時点では専門用語が多すぎて詳しく説明することはできないのですが、効率的かつ「明るさの演出」や「肩透かし感」などの表現に必要な情報も盛り込んでとらえることができています。
相対的な見方ができると、曲がこのように見えてきて、練習が早くなるし、演奏がうまくもなるのです。

まとめ

さて、コード進行を一例に、音楽においてはとにかく相対的な見方が大事ということをお伝えしました。

もちろんコード進行だけでなく、メロディ、リズムにおいても「とある基準と比べてどうか」という相対的な見方は非常に大事になってきます。

ではその相対的な見方において具体的にどんな尺度を用いればよいのか、ということを、次回から説明していきます。

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