初めまして、ねぎとむと申します。
今回初めて記事を書かせていただきます。
普段はバンド活動やサポートミュージシャンとしてドラムを叩いており、コロイデア音楽塾でドラム講師もしています。ドラムを中心にリズムやフレーズなど色々な記事を書けたらと思います、頑張ります!
さて、今回は「2拍3連」がテーマの話をしていこうと思います!
…初回にしては少し細かいテーマに感じますが、直感的にわかりやすくお話ししていきますので是非最後までお付き合いください。
2拍3連ってなに?
まず、2拍3連と聞いてピンと来ない方もいると思います。2拍3連とは
「2分音符を3分割したもの」
です。
2拍かけて3連符を完成させるので「2拍3連」というわけです。
3連符をはじめとした奇数音符は慣れるまでは少し難しいですが、上手く使うととても印象に残るようなフレーズを作ることができます。
2拍3連を使った楽曲の例として、広瀬香美さんの「ロマンスの神様」は2拍3連を効果的に使っています。
この曲は転調がとても多く、ワンコーラスの中で4回もキーが変わるのですが、特にBメロの中盤(動画の1:03〜)に出てくる転調に2拍3連が使われています。
半音ずつ上がるフレーズ+2拍3連+転調の3コンボで非常に印象的なフレーズになっています。ボーカルラインよりもラッパの方を歌いたくなっちゃう、なんて事もあると思います。僕がそうです。
2拍3連のそっくりさん
さて、2拍3連についてなんとなく分かったと思います。
それでは、2拍3連が使われている曲を自分で探してみてください。
「何曲か見つかった、結構使われてるなぁ」
なんて人もいれば、
「全然見つからない…」
なんて人もいると思います。
…後者の方、安心してください。
2拍3連は頻繁に使われるようなものではないため探すのは割と難しいです。
では前者の方はなぜいくつか見つけられたのでしょうか…?
もちろん、2拍3連が使われている楽曲を沢山知っているというのもありますが、もしかしたらあなたがカウントした2拍3連にニセモノが混ざっている可能性があります…!
わかりやすい例として、高橋洋子さんの「残酷な天使のテーゼ」を聴いてみましょう。
この曲のサビ前(動画の1:06〜)に注目してみると、どうも2拍3連のフレーズでサビに突入しているように聴こえます。しかしこれ、実は2拍3連ではありません!ではこれはなんなのでしょうか…?
この2拍3連に似たものは「付点8分音符+16分音符」です。
2拍3連とニセ2拍3連の違い
2拍3連との違いを見てみましょう。
確かに2拍3連と表記の仕方が違いますね。先述の通り、このニセ2拍3連は付点8分音符と16分音符で構成されています。
もう少しだけ細かい話をすると、ニセ2拍3連は「8個の16分音符をアクセントで3・3・2に分け、アクセントのみを抽出したもの」です。百聞は一見にしかずなので、下の図をご覧ください。
ここまで細かくすると本物の2拍3連との違いがよくわかると思います。つまり、2拍3連は音の長さが均等なのに対し、ニセ2拍3連は3つ目の音が少し短いのです。
ニセ2拍3連は探してみるとそこら中に使われています。キメとしてはもちろん、ボーカルメロディやギターリフなどなど、楽曲によっては何度も登場することも多くあります。
例えば黒ウサPさんの「千本桜」はいきなりニセ2拍3連から始まります。
また、原曲をぶち壊したものをカバーと言い張るあの「いとうこっそりくらぶ」でこの曲をカバーした際、前奏にニセ2拍3連と本物の2拍3連の両方を用いています。
こうして聴き比べてみると非常に違いが分かりやすいですね!ニセ2拍3連は勢いがあり自然なのに対し、本物の2拍3連になった途端勢いが殺されつんのめった印象があります。
ニセ2拍3連が選ばれる理由
なぜニセ2拍3連には勢いがあり楽曲に馴染むのか、それはニセ2拍3連が偶数音符ベースだからです。
私たちが普段聴く音楽は多くの楽曲が4/4拍子です。その中では偶数音符が覇権を握っています。そこに突然2拍3連符がでてくると、ノリが変わり急ブレーキがかかったように感じてしまいます。
しかし、ニセ2拍3連は16分音符をベースにしているので偶数音符のノリを継続しながら2拍3連のような効果を得られるというわけです。
2拍3連との使い分け
上記の説明だと、ニセ2拍3連の方が万能で本物の2拍3連を使う理由がない…そう感じてしまうかもしれません。しかし、当然それぞれにメリットがあればデメリットもあります。
ニセ2拍3連はノリを継続できるというメリットがありますが、逆に言えば強く印象に残すことが出来ないということです。ここぞという時に使うフレーズとしてはパンチが弱くなってしまうのです。
反対に、本物の2拍3連の方は急ブレーキが掛かることを活かしてハーフビートの前に使ったり、ガラッと展開を変える時に使うとスムーズに移ることが出来ます。
また、DECO*27さんの「ヒバナ」のイントロ(動画の0:00〜0:03)のように、荒々しさを演出することもできます。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
2拍3連についてなんとなく理解いただけたら幸いです。本物もニセモノも、違いを理解して適材適所で使えたらよりいい作品ができると思います。
それではまた次回!バイバイ!
(この記事では便宜上「ニセ2拍3連」と呼んでおりましたが、実在する言葉ではないためご注意ください。)