― “1年間ギターを辞めた男”がたどり着いた上達メソッド
こんにちは、伊藤優人です。
今回紹介するのは、ギタリスト・友成さんによる「クロマチック基礎トレーニング」の実践法。
彼は29歳で一度ギターを辞め、1年後にゼロから再出発。
その後プロとして活動を再開するまでに行ったのが、超シンプルなのに確実に上達する基礎練習でした。
「毎日やれば、本当にうまくなる」――その言葉どおり、フォーム矯正から音の粒立ち、リズム感まで総合的に鍛えられる内容です。
■ 再出発のきっかけと“1本の練習法”
29歳で一度ギターを諦め、就職を考えた友成さん。
しかし、半年で「やっぱりギターを諦められない」と思い直し、
清掃の仕事を続けながら夜に基礎練を再開したといいます。
「1年間まったく弾かなくても、基礎から積み上げれば戻れる」
その信念で取り組んだのが――
**クロマチック・トレーニング(半音階練習)**です。
■ クロマチック・トレーニングの基本形(レベル1)
最もシンプルで、誰でも今日からできる練習がこちら。
🎸 1弦1フレットから4フレットまで、人差し指・中指・薬指・小指で順に弾く。
→ 6弦から1弦まで下り、再び1弦から6弦へ戻る。
つまり「1-2-3-4/4-3-2-1」をゆっくり往復。
このときのポイントは「速さ」ではなくフォームの安定と音のつながり。
- 指を立て、爪先でしっかり弦を押さえる
- 小指が反らないように、アーチを保つ
- 音を切らず、次の音へ“レガート”に繋ぐ
右手はリラックスし、「パチン」と弾くように。
左手は指先の角度と圧力を確認しながら進めます。
「フォームが崩れた瞬間にリズムも音も崩れる」
だからこそ、ゆっくり・正確にが鉄則です。
■ レベル2:逆パターンで左右のバランスを整える
次はその逆パターン。
「4-3-2-1」で1弦から6弦まで下るトレーニングです。
最初の往復よりも難易度が上がります。
右手と左手のタイミングがズレやすく、シンクロ率の精度が問われます。
友成さん曰く、
「うまい人でも、気を抜くとミスる。気をつけて弾いてるだけなんです」
つまり上達とは、才能ではなく“意識の精度”。
1音ごとに「次の音をどう繋ぐか」を感じながら、確実に弾きましょう。
■ レベル3:ずらしながら移動する“立体クロマチック”
次のステップは、弦移動を組み合わせたずらし練習。
たとえば:
- 6弦で「1-2-3-4」
- 次の5弦で「2-3-4-5」
- 4弦で「3-4-5-6」…という具合に、1フレットずつズラしていく。
これを1弦まで行ったら、今度は逆に戻ります。
X字を描くように進むため、右手・左手・視覚の連携が一気に鍛えられます。
「スティーブ・ヴァイもやっていた練習法」
と言われるほど、シンクロ率とフォーム安定に効果的。
■ レベル4:下降のクロス練習で精密さを極める
レベル3を“上昇”だとすれば、レベル4はその逆。
「4-3-2-1/5-4-3-2」といった下降のクロスパターンです。
これはまさに集中力との勝負。
たった1フレットのズレで、音もリズムも崩れます。
「ものすごい緊張感。気をつけて弾かないと絶対間違える」
この緊張感こそ、ライブやレコーディングで必要な“本番耐性”を育てます。
■ レベル5:24音スパイラル・クロマチック
最終ステップは、3音ずつ斜めに進むスパイラル型クロマチック。
右手と左手の連携を最大限に使う、まさに“頭がこんがらがる”練習です。
- 5フレットを起点に、3音ごとに移動(例:1→4→7→10…)
- 上昇後、逆順で下降
- 音が切れないように、常に次の位置を“予測”して動く
右手・左手・頭脳を同時に使うため、ギター全体の認知力トレーニングとしても有効。
友成さん曰く:
「最初は頭おかしくなります(笑)。でも右手と左手のシンクロ率が一気に上がります」
■ 現代と昔の教え方の違い
昔は「弦から指を離さず4本を押さえたまま」が基本でしたが、
今は「弾いたら離す」が主流。
理由は、可動域と柔軟性を保つため。
固定するよりも、離して動かすことで指の独立性が高まります。
「昔の“うさぎ跳び”みたいなもので、時代とともに理論もアップデートされてる」
という友成さんの言葉が印象的です。
■ 練習を続けるコツと心構え
- アンプを通す:生音よりも小さな力で弾ける
- 毎日5分でも続ける:フォームを維持する習慣
- “速く”ではなく“正確に”:速さは結果であって目的ではない
彼が住んでいた木造アパート「江古田の欅荘」での練習風景――
夜中にヘッドホンをつけ、1音ずつ確かめながら弾いていたその姿が、すべてのギタリストに響きます。
「ゆっくりでいい。指の感覚を感じながら、音がつながるかを確認する。それで必ずうまくなる」
■ まとめ:基礎とは“止まらない勇気”
クロマチック練習は、単なる指トレではなく「ギターを再び信じるための行動」です。
1年間弾かなかった彼が再び立ち上がり、
プロとして活動できるようになったのは、地味な練習を本気でやり抜いたから。
「ゆっくり、正確に、気をつけて弾く」
それだけで、確実に上達できます。
あなたも今日から、指先にもう一度“基礎の火”を灯してみてください。

