ピアノ初心者の中には「早く上達したくても指が思うように動かない」と悩む方も多いのでしょう。また、ピアノを上手く弾くために、ピアノの練習をするだけでは上達がしづらく感じることもあります。
そこで、ピアノの上達のために重要なのが、指のトレーニングです。指のトレーニングをしっかりと行うことで、指を自分の思いどおりに動かすことができるようになり、演奏技術の向上につながります。
今回は、すぐに実践できるピアノの指トレーニング方法や、トレーニングを行う時の注意点などについて解説します。
ピアノの指のトレーニングが必要な理由
・ピアノの表現力向上につながる
ピアノで好きな曲を楽しく弾く際、表現力は必要不可欠です。
ピアノ演奏は、鍵盤を強く叩く際もやさしく叩く際も指の筋力が必要です。指のトレーニングを行うと、力加減を自由にコントロールできるようになるため、音の強弱をコントロールして、表現豊かな演奏ができるようになります。
また、両手の力の差をなくすことで、右手と左手の音の強弱を均等にして演奏ができるようになります。力加減を自由にコントロールして音の強弱をしっかりとつけることができるようになれば、ピアノ演奏の表現力は高まるでしょう。
・ピアノに触れられない時間も練習できる
ピアノの上達には毎日の練習は必要不可欠です。しかし、学校や仕事、プライベートの予定の関係で毎日一定の練習時間を確保するのが難しいこともあるでしょう。そんな時は、ピアノに触れなくても取り組める指のトレーニングを行うのがおすすめです。
空き時間に指のトレーニングを行うことで、ピアノを弾けない時も指の筋力を鍛えたり、柔軟性をキープしたりすることができます。
ピアノの練習時間を確保するのが難しい方は、空き時間を活用して指のトレーニングを行ってみてください。
・テンポの速い曲も演奏できるようになる
ピアノ演奏のために指のトレーニングを行って筋力や柔軟性をつけると、テンポが速い曲も弾きやすくなります。ピアノ曲の中には非常にテンポが速い曲もありますが、アップテンポの曲で指を速く動かせるようになるためには、指の筋力が不可欠です。
また、指の筋力をつけておかなければ、指が疲れて最後までしっかりと演奏するのが難しくなります。そのため、自分が弾ける曲を増やすためにも、指のトレーニングは重要です。テンポが速い曲を弾けるようになれば、ゆっくりとした曲はさらに余裕を持って弾けるようになるでしょう。
・怪我の防止につながる
ピアノの指トレーニングを行うと怪我の防止につながります。ピアノの演奏は体力の消耗が激しく、なかでも指への負担はかなり大きいため、筋力をつけていなければ怪我をしてしまうおそれがあります。
演奏中に指がつったり、疲労骨折になったりすると、練習ができなくなります。怪我を予防するためにも、日頃から指のトレーニングを行っておくことが大切といえるでしょう。
今すぐできるピアノの指のトレーニング方法
・手のひらを握ったり広げたりするトレーニング
ここからは、具体的なピアノの指のトレーニングをご紹介していきます。はじめに紹介するのは、左右の握力差を少なくしたい場合におすすめのトレーニングです。
トレーニングの手順は以下のとおりとなっています。
- 左右の手のひらや指をマッサージして準備運動をする
- 両腕をまっすぐ伸ばす
- 手をしっかりと握り、5秒間キープする
- 思いきり手を広げ、5秒間キープする
- 2~4の手順を5回程度繰り返す
上記のトレーニングは、場所を選ばず簡単にできることにくわえて指を効率よく鍛えられます。日常的に行うのはもちろん、ピアノの演奏前に行うことで手の緊張をほぐしてリラックスして演奏できる効果もあります。
左右の握力差が大きいと感じる方は、握力の弱い手を多めにトレーニングしておくといいでしょう。
・指を1本ずつ上げ下げするトレーニング
ピアノを上手く弾けるようになるには、それぞれの指を単独で動かせるようになることが大切です。そこでおすすめなのが、指を1本ずつ上げ下げするトレーニングです。
以下の手順でトレーニングを行ってみましょう。
- 両手を水平な場所に置く
- 親指から順に、10回ずつ上げ下げを行う(左右同時または片手のみでも問題ありません)
- 親指から小指まで終わったら、この手順を3セット行う
このトレーニングを行なうと、指の中でも薬指の上げ下げが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。薬指は指の中でも力が弱いため、ピアノは「薬指の打鍵が強いと音の強弱バランスが整って、上手に演奏できる」といわれています。薬指を重点的に鍛えて、演奏表現の幅を広げてください。
すべての指を単独で動かせるようになれば、美しい音を奏でられるようになるでしょう。
・指を引っ張り合うトレーニング
指を引っ張り合うことで、指の筋力やスタミナをつけることができます。トレーニングの手順は以下のとおりです。
- 左右の人差し指を引っかけ、5秒間引っ張り合う
- 他の指でも同様に繰り返す
テンポの速い曲や緩急のある曲を演奏すると、指が疲れやすい傾向があります。短時間演奏するだけで指が疲れると感じる方は、こちらのトレーニングを試して指の筋力をつけることを心がけてみてください。
・OKサインを作るトレーニング
それぞれの指の筋力をつけるためには、OKサインを作って指の筋力を強化するトレーニングもおすすめです。具体的な手順は以下のとおりとなっています。
- 親指と人差し指をくっつけて、OKサインを作る
- 音が鳴るくらいの強さで、くっつけたり離したりを繰り返す
- 親指と中指、親指と薬指など、それぞれの指で繰り返す
このトレーニングを行うと、小指が難しく感じる方が多いのではないでしょうか。動かしにくい指の筋力を重点的に鍛えることができ、鍵盤を叩く力を強化する効果があります。
・指を回すトレーニング
指回しを行うことで、それぞれの指を思いどおりに動かすことができるようになります。トレーニングの手順は以下のとおりです。
- 左右の指先をくっつけて、手のひらの間には空間を作る
- 親指から順に、指同士が当たらないように回転させる
- すべての指で行い、2セット目以降はスピードを速くして行う
このトレーニングを行う際は、回している指同士が触れないようにすることはもちろん、くっつけている指先が離れないように注意しましょう。場所に関係なく手軽に行えるのもメリットです。隙間時間にぜひ実践してみてください。
・ピアノを弾けるときは専用のテキストを取り入れるのもおすすめ
ピアノで好きな曲を弾けるようになるために指トレーニングを行ってばかりで、退屈と感じた方や、ピアノを弾きながら指を鍛えたい方は、ハノンという教則本を取り入れましょう。
ハノンはピアノ初心者からプロの方まで、多くの方が取り入れている指を鍛えることに特化したテキストです。楽譜通りに弾くだけで、指の独立や和音、楽譜通りに指を動かすための運指のトレーニングも行えます。
また、ハノンは同じフレーズをさまざまな調で弾くことが多いため、楽譜に慣れたい方にもおすすめです。曲の練習を行う前にハノンで指慣らしを行うと良いでしょう。
ピアノの指のトレーニングを行う際の注意点
・トレーニング前は入念にストレッチを行う
ピアノの指のトレーニングを行う前には、入念にストレッチやマッサージを行うことが重要です。手や指をしっかりほぐしてからトレーニングを行うことで、トレーニングの効果を高める効果があります。
手や指をもみほぐしたり、指を反らせてストレッチしたりするなど、ウォーミングアップを忘れないようにしましょう。
・怪我をしないように無理のないペースで続ける
ピアノの指のトレーニングを熱心に行うのは良いことですが、やりすぎると怪我をしてしまうことがあります。
一度に長時間の練習を行うのではなく、少しの時間でも毎日継続してトレーニングを行うようにしていきましょう。
まとめ
今回は、ピアノの指のトレーニングに関して、具体的なトレーニング方法や注意点などをご紹介してきました。指の筋力や柔軟性を高めることによって、演奏力の向上だけでなく、怪我の防止にもつながります。
今回の記事でご紹介した指のトレーニング方法を実践していただき、ピアノの上達を目指していきましょう。