ジャズドラムとは?特徴や基本的なパターン、知っておきたいテクニックも解説

これからドラムを始める方の中には、ジャズセッションでドラムを演奏したいという方も多いのではないでしょうか。ドラムはバンドの土台を形成する重要なパートですが、音楽ジャンルによって演奏方法は大きく異なります。また、ジャズドラムを演奏したいのであれば、その特徴をしっかり理解しておく必要があるでしょう。本記事ではジャズドラムの特徴や基本的なパターン、よく使用されるテクニックなどについて詳しく解説します。

目次

ジャズドラムとは

ジャズドラムとは、ジャズ特有のリズムやスタイルを表現するために演奏するドラムのことです。一般的に「ドラム」といえば、ロックバンドで力強くダイナミックに演奏する姿を連想する方も多いでしょう。

しかし、ジャズドラムはロックドラムとは異なり、静かで繊細な演奏を行えます。また、即興演奏(アドリブ)が多いため、同じ曲を演奏しても、ドラマーによって違うフレーズが生まれることもあります。アドリブが重視されているため、ジャズドラムには基本的に最低限の楽譜しかありません。

また、ドラムセットはさまざまな種類のドラムとシンバルで構成されており、ジャズドラムはロックドラムと比べて形や役割が異なります。ロックやポップスではバスドラムやスネアドラムが主要な役割を果たしますが、ジャズドラムではライドシンバルやハイハットがより重要な役割を担うのです。つまり、シンバルの音色がメインとなるため、ロックやポップスとは音作りの方法が大きく異なります。

さらに、ジャズドラムのライドシンバルは他ジャンルのものより薄く作られることが多く、軽快に演奏するためにロータムを外すこともあります。ジャズドラムは、他ジャンルのドラムとは異なる性質を持っているため、ジャズドラムを始める際には適したドラムセットを選ぶことも重要といえるでしょう。

ジャズドラムを始めるために必要なもの

・ドラムスティック

ジャズドラムを始めるにはスティックを用意する必要がありますが、さまざまな種類が販売されているため自分に合うものを選びましょう。

まず、ドラムスティックの長さは全音楽ジャンルにおいて「5A」が標準とされています。5Aのスティックは、長さ406.4mm、直径14.4mmが一般的であり、ドラム初心者の方におすすめです。ただし、メーカーによって多少の差があるため注意しましょう。

また、スティックの材質も重要です。ジャズドラムで使われる主な木材は「ヒッコリー」か「メイプル」が一般的ですが、最もポピュラーなのがヒッコリーです。そのため、初心者の方はヒッコリーを選ぶといいでしょう

なお、メイプルはヒッコリーに比べて軽く、繊細な音を比較的簡単に出すことができます。材質や木材の密度によってスティックの重さも変わるため、実際に試して自分好みのスティックを選んでみてください。

・ブラシ

ジャズドラムではスティックだけでなく、ブラシで打面を擦って音を出す演奏方法もあります。ブラシには、針金を束ねた「ワイヤータイプ」と、プラスチックを使用した「ナイロンタイプ」があり、主にバラードで使用されます。ジャズではワイヤータイプのブラシがよく使われ、スティックでは表現できない音を出すことが可能です。

・ドラムセットや練習パッド

自宅でジャズドラムを練習するときは、ドラムセット練習パッドが必要です。練習パッドであれば手頃な価格で販売されており、テーブルの上などに置いて練習することができます。ゴム製やプラスチック製がありますが、ゴム製の練習パッドは実際にドラムを叩く感覚に近いため、初心者の方におすすめです。

また、自宅でより本格的に練習をしたい場合は、練習用のドラムセットや電子ドラムの購入を検討しましょう。ドラムセットがあれば、いつでも好きな時間に練習できるため、上達も早くなる傾向にあります。ただし、ドラムセットは設置スペースや騒音の問題もあるため、購入前にサイズ感を確認してください。

・メトロノーム

メトロノームは、正確なリズム感を身につけるために必要な道具です。バンドにおいて、ドラムはリズムの土台を形成するパートであり、正確なリズムでドラムを叩くことは非常に重要です。近年はメトロノーム機能が搭載された電子ドラムや電子練習パッドも発売されているため、このようなモデルを選べば、別途メトロノームを購入する必要はありません。

ジャズドラムの基本的なパターン

ジャズドラムには多くのリズムパターンがありますが、その中でも基本的なパターンは以下のとおりです。

・4ビート

ジャズドラムにおいて、スウィング感を出す最もオーソドックスなパターンです。また、このシンバルのリズムを「シンバルレガート」と呼び、ジャズドラムの基本となっています。

  1. 右手でライドシンバルを4分音符で叩く
  2. 2拍目・4拍目に左足のハイハットを入れる
  3. ライドシンバルで、2拍目・4拍目に3連符の3つ目を入れる

・8ビート

ジャズ以外のジャンルでもよく用いられており、8分音符が土台となっているストレートなリズムが特徴です。

  1. 右手のハイハットは8分音符で叩く
  2. 2拍目・4拍目に左手でスネアを入れる
  3. 1拍目・3拍目でバスドラムを踏む
  4. ②と③を組み合わせて演奏する

・ラテン

カスカラやクラーベなど、ラテン音楽のリズムを変化させたものがジャズに用いられています。

  1. 2拍目・4拍目に左足でハイハットを入れる
  2. 右手のライドシンバルでカスカラやクラーベのリズムパターンを刻む
  3. 左手でハイタムやクローズドリムショットをアクセントに入れる

・ボサノバ

ブラジルの伝統的な音楽であるサンバやショーロが、アメリカで流行したジャズの影響を受けて生まれたものがボサノバです。そして、ボサノバのリズムはジャズでも使われるようになりました。

  1. 右手のライドシンバルで、8分音符を刻む
  2. 1拍目(表)・2拍目(裏)・3拍目(表)・4拍目(裏)にバスドラムを入れる
  3. クローズドリムショットを1小節目の1拍目(表)・2拍目(裏)・4拍目(表)、2小節目の2拍目(表)・3拍目(裏)に入れる

・シャッフル

ブルースで使われているパターンがジャズでも使われています。バウンスビートとも呼ばれており、リズムが跳ねているように演奏を行います。

  1. 右手のハイハットで3連符の1つ目・3つ目を叩く
  2. 2拍目・4拍目に左手のスネアを入れる
  3. ①・②ができたらバスドラムを入れる

ジャズドラムで知っておきたいテクニック

・シングルストローク

シングルストロークとは、左右で交互にドラムを叩く手法です。最初は片手のみで、8分音符を正確に叩けるように練習します。片手で叩けるようになったら、左右で交互に叩いていきましょう。

・ダブルストローク

ダブルストロークとは、左右で2回ずつドラムを叩くテクニックです。ダブルストロークでは、1打目のリバウンドを上手く利用することがコツなので、リラックスした状態でスティックを持ってください。力を入れすぎるとリバウンドが制限されてしまい、速いテンポに対応できなくなるため注意しましょう。

・クローズドリムショット

クローズドリムショットとは、スティックを打面につけながら、ドラムのリム(縁)を叩く手法です。まずはスティックを人差し指と親指で持ち、手とスティックを打面に置きます。そして、スティックのグリップ部分と手首を打面に接触させたまま、スティックのショルダー部分でリムを叩きましょう。この時、手首が打面から離れるとスティックが当たる箇所がバラバラになってしまい、音色が安定しないため、注意してください。

・スティックショット

スティックショットとは、スネアに片方のスティックの先端を当て、そのスティックのショルダー部分を叩くことで音を出す方法です。スネアの音色を変化させられたり、小さく立ち上がりの良い音を出したりすることができるテクニックとなっています。

・ヒールダウン奏法

バスドラムの踏み方には、かかとを浮かせた状態でペダルを踏む「ヒールアップ奏法」と、かかとをペダルにつけた状態で踏む「ヒールダウン奏法」があります。前者は迫力ある音を出すことができるためロックやポップスでよく使われ、後者はボリュームを抑えた繊細な表現ができるためジャズで使われることが多いです。ヒールダウン奏法では、かかとはペダルにつけたまま、つま先だけで踏み込む練習をしていきましょう。

まとめ

今回は、ジャズドラムの特徴や基本的なパターン、知っておきたいテクニックなどについて解説しました。一口にドラムといっても、演奏するジャンルによってニュアンスや必要なテクニックは異なります。ジャズドラムはシンバル系の音がメインでアドリブも求められますが、自由度の高い演奏を楽しむことが可能です。ぜひ本記事を参考にしながら、ジャズドラムにチャレンジして演奏の幅を広げてください。

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