こんにちは。
意識低い系ミュージシャンの龍ちゃんです。
「とにかく楽に音楽をする」をモットーに、音楽に役立つ情報を発信しています。
これまでもっぱらキーボードばかり弾いていたのですが、最近になってギターを始めて、きづいたことがあります。
「ギターとキーボードの相乗効果ヤバい!」
この二つは音楽やるならどっちも触っておくべき、と言えるほど、両方に触れるメリットは多数あります。
今回の記事では、音楽をやるうえで楽器の選択肢の二大巨頭であるギターとキーボード(ピアノ)それぞれの特性について解説し、また両方が合わさった際の相乗効果がどのようなものかということも解説していきます。
ギターとキーボードなぜこの二つがオススメ?
そもそもギターとキーボードが音楽理論学習の二大巨頭であるのはなぜか?
おそらくですが、「メロディ、コード、リズム」これらすべてを担当可能な楽器であるという理由が最も大きいでしょう。
必然的にそういった楽器はシーンの土台になります。
キーボードは特にそういったイメージがつきやすいですね。
クラシックのピアノ曲は文字通り楽器一つだけで音楽が完結しています。
ギターはバンドの中の一員として、ソロで目立っているイメージが強いため、あまり単体で音楽を成り立たせる楽器というイメージがつきづらいかもしれませんが、ピアノと同じく元は「通奏低音」という、主に今でいうベース、たまにコード、たまにメロディを担当する役割を持った楽器でした。
音楽はピアノの登場によって今一般的になっている「コード+メロディ+リズム」の構造が出来上がり、その後ギターによってポピュラー音楽が花開いたという歴史をたどってきています。
キーボード(ピアノ)の強み
ピアノの優れている点としては、「ある位置を押せば決まった音が鳴る」という発想のシンプルさにあるでしょう。
(もちろんピアノをきちんと突き詰めると「押せば鳴る」では済みませんが)「押せば鳴る」ということがどれだけ偉大か、弦楽器や管楽器に触れたことのある方や、歌を専門にされている方ならわかるのではないでしょうか。
本来音を鳴らすこと自体、音楽においては大変なことなのです。
ピアノは調律さえ狂わなければ、赤ちゃんでも、叩けば叩いた場所の音が出せます。
しかも一つ一つ音によって位置が異なり、88色のパレットのように明確に分かれています。
これらの理由から、ピアノの方が直感的に音と指の動きを対応させることができる、という点で、理論を学ぶのに最も適しています。
「ドソ」と思ったら当然のごとく「ドソ」に指を置けばよいのです。
これが例えばギターだと、同じ高さの「ドソ」があちこちに存在し、また弦同士の音程も一定ではないため指使いが異なるところが出てきて、しかもミュートをきちんとして二本だけ弦をピッキングするという、なかなか大変な行程を踏むことになります。
また、これは根本的な話になるのですが、ピアノを用いて音楽理論を学んでいくことに関しては
「ピアノは〇〇だから学習に優れている」
というよりも、ピアノは登場以前と以後で音楽のルールを作り変えてしまったため、
「そもそも今ある理論がピアノの存在を前提にしているため当然ピアノを用いて学習するのが最も構造を理解しやすい」
という説明の方が正しいです。
現在一般的な音楽理論において、五線譜や音程、ダイアトニックコードなどなど様々な要素がありますが、そのどれもが、ピアノで最も弾きやすい音階である「ドレミファソラシド」、Cメジャースケールを大本として作られています。
この発想が大本にあるのとないのではその後にかなり差が出てくることは明白でしょう。
さて、ピアノで音楽理論を学ぶことが主に理論面において優れているとするのであれば、ギターはその逆になります。
ギターの強み
ピアノが理論の基礎となる発想を形作るのに適しているのに対し、ギターの魅力はとにかく身体的なアプローチが多い楽器であることです。
ギターの演奏は理屈よりも、ダンスの振り付けを覚えるのに近い部分があります。
ギターは手を横に動かしさえすればあらゆる音にアクセスできるピアノと違い、どうしても指の開き方や本数、また弦の飛び具合、同時に気持ちよく鳴らせる本数など、身体的な制限があります。
その制限こそがギターの強みです。
「制限されている中でかろうじて成立する動き」というのが振り付けとしてある程度体系化されており、実践面がものすごく優れている、というのがピアノにはない魅力です。
「この範囲ではこれしかやりようがないから、その範囲でできることを考えればいい」というのは非常に大きな学習の助けになります。ピアノは押せば鳴る楽器なので、鳴らし方は自由ですが、自由すぎて実践が難しいのです。
例えばギターっぽい技として、チョーキングを絡めたランフレーズというものがあります。
ランフレーズとはソロの盛り上がりで繰り返し演奏される速弾きのことです。
速弾きなので、当然フレットがものすごく離れたところに瞬間移動したりはできません。
左手を横にあまり動かさない範囲でいかにカッコイイフレーズを弾くか、ということを偉大な先人たちが考えた結果、こういった技が出来上がりました。
動画引用元:38 ブルース系王道ランフレーズ
チョーキングの手の位置とペンタトニックスケールの配置をそのまま利用して音を詰め込む発想を用いています。
こうしたフレーズを聴いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
音楽というものはいつでも自由な選択肢が与えられているように思えますが、実はこのように「ここでは盛り上げるためにこれをやっとけばいい」といったようなパターンが非常に豊富に用意されていて、それを覚えて実践すればそれだけである程度のレベルのことができるようになっているのです。
こうした「おいしいフレーズ集」はもちろんピアノ含め他の楽器にも存在しますが、おそらくギターがもっとも豊富です。不自由さと自由さのバランスが最も取れた楽器だからこそではないでしょうか。
さらにギターはその指の動きをそっくりそのまま横にずらして同じように演奏することができます。
音楽の本質は音と音の距離にあり、絶対的な位置は一つの基準でしかない、という、実践で最も大事な考え方をそのまま再現可能です。
キーボードでは、例えばメジャーコードをすべてのルートで演奏するだけでも、白鍵と黒鍵の位置が毎回変化してしまいます。
これは全ての音を横並びにしたがための苦労です。
一方ギターは、メジャーが鳴る押さえ方でコードを鳴らした場合、それをそのまま横にずらして、すべてのルートのメジャーを演奏することができます。
これはスケールや、実際の曲のフレーズすべてにおいてももちろん同じことです。
例えば、いいなと思ったコード進行をすぐにずらしてちょっとアレンジして自分の曲のコード進行にしてしまうなどの芸当が可能になります。
ギターは理論学習において実践面でとても優れているのです。
ギターとキーボードの二刀流で理論と実践を互いに補える!
ただ楽譜を追う音楽から一歩先に進む学習をする上で、キーボードは理論的な面を捉えるのに強く、ギターは実践をするのに強いです。
理論だけ覚えていても手が実際に動かなかったら身につきませんし、手の形を覚えて演奏だけこなしていても応用が利きません。
両者を二刀流でこなすことで学習の理想形である、理論と実践を行ったり来たりする形が出来上がるのです。
オススメとしては、ピアノ経験の有無にかかわらず
- ピアノと五線譜を下地にしつつ理論的なことを覚える
- ギターで実際に音を鳴らしてみる
この繰り返しを行うことです。
例として、「ダイアトニックコード」を覚える際のステップを示してみます。
まず、
「ダイアトニックコードとは、メジャースケールのそれぞれの音をルートとして、スケール内の音を用いて構成されたトライアドの集合体である」
といったことを覚えたとします。
文字面ではわかりづらいですが、ピアノで弾くことを考えて五線譜にするとこんな感じ。
ダイアトニックコードというものがどういう構造をしているか、直感的にわかりやすいですね。
鍵盤でも、最も弾きやすいCメジャースケールを一個飛ばしで三つ押さえて弾くだけですので、スムーズにダイアトニックコードを一通り鳴らすことができます。
これが例えばTAB譜だとこうなります。
パッとみてわかりづらい数字を追いかけるのが大変な上、どこがどうなってこの音が出来上がっているのかを理論的に落とし込むのが大変です。
同じ音が鳴るポイントがいくつもあるのでどこで鳴らすかも迷います。
しかもギターの場合ダイアトニックコードを曲の中でそっくりそのままこの形で使うということ自体珍しいです。
ピアノの方が理論を学ぶ段階には適しているのがおわかりいただけたでしょうか。
ピアノと五線譜による直観的な発想により、頭の中に「ダイアトニックコードとは、メジャースケールのそれぞれの音をルートとして、スケール内の音を用いて構成されたトライアドの集合体である」という図が出来上がるのです。
さて、キーCにおけるダイアトニックコードがキーボードで弾けたとして、その次です。
音楽理論において大事なのは「音と音の距離が本質である」という考え方。
基準をずらして距離の集合体をずらして実践してみることでより本質的な理解に近づくことができます。
しかしピアノだと、例えば一つ横にずらしただけのキーD♭のダイアトニックコードが、弾きづらくて仕方ありません。
ここで、実践に強いギターの登場です。もう五線譜と鍵盤で、ダイアトニックコードが理論的にどんなものであるかはつかめているので、今度はそれをイメージしながら、「身体的に」つまり手の形と音という単純な結びつきでダイアトニックコードを鳴らせるようにします。
キーC及びキーGのダイアトニックコードはローコードのポジションで弾きやすいコードがそろっています。
まずこの二つを、コードと番号、手の形を対応させて覚えます。
その二つを身体に落とし込むことが出来たら、カポを使ってずらしていく実践をしてみるのです。
手の形は一切変わらずにキーだけをずらしていけるというギターの強みを発揮し、すべてのキーのダイアトニックコードを実際に鳴らしている実感を得ることができるのです。
カポをものすごく高い位置に着けてローコードのポジションのみで曲を演奏するということは、実際の曲においてはあまりありません。
ここで重要なのは、「ダイアトニックコードを自分でコントロールしてどのキーでも弾けている」という実感です。
自己効力感といって、人間は自分の能力が及ぶ範囲を認識することで得られる達成感を求める生き物ですから、学習の上でそういった「実践できた」という実感が非常に大事なのです。
こうして一つの「理論→実践」サイクルをこなすことが出来たら、「今度はピアノでキーC以外のダイアトニックコードをおさえてみよう」「ローコードを使わずダイアトニックコードを追いかけてみよう」などなど、ダイアトニックコードをお題にした実践を次々広げていきます。これをあらゆる分野で行うことで、キーボード、ギターそれぞれを単体で練習するよりも、はるかに効率よく理論が身につき、また上達も早くなるのです。
ギターとキーボードの優先順位は?
「両方やるといいよ!」
と聞いてすぐ両方揃えられる人は実際少ないでしょう。
優先順位つけて買うならどちらが先か、またそもそもどのランクのものを買えばいいのか、ということを最後に書いておきます。
まず、手元に楽器がないという人に向けて。
もっぱらクラシックしかやらない人以外はギター優先です。
この記事を読む方はポップスをやりたいという人がほとんどでしょう。
もうバンドにキーボードで加入することが決まっているというような事情がある方は別ですが、まずギターを手にとっておくと応用が利きます。
理由として、ギターは弾いていて楽しいと感じられるようになるまでが他の楽器よりも早いからです。
それは先ほども述べた通り、実践の体系が優れているためです。
最初でやる気がなくなってしまっては元も子もありませんからね。
ギターをすでに持っているという人がキーボードを購入するのであれば、あくまで理論学習の補助としてということになりますから。
冗談抜きでこのぐらいリーズナブルなものでいいと思います。
キーボードを現在専門にしている、もしくはピアノ経験があるという方がギターを買うのであれば、リーズナブルなメーカーのストラトキャスターを買っておけば失敗はしないでしょう。
欲を言えばここに追加で、無料のものでもDAWがあるとはかどりやすいです。
まとめ
今回はキーボード、ギターそれぞれの、音楽を楽しくやっていくうえで優れているポイントを解説してきました。
単純に、一つの楽器だけの世界を広げるという意味でも新しい楽器をやってみることには意味がありますし、単に楽しいということ以上に、他の楽器をやってみることにはメリットがあるので、楽しく音楽をするために、是非検討してみてください。
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