ギターしか弾かないという人も、五線譜を読めるようになろう

こんにちは。
意識低い系ミュージシャンの龍ちゃんです。

とにかく楽に音楽をする」をモットーに音楽に役立つ情報を発信しています。

今回は、音楽を始めて悩む人も多いであろう「五線譜」についての話です。

ギターベース人口が多い中で、TAB譜という便利なものが世の中には存在しますし、DAWやプラグインの進歩で、楽譜というものの重要性が薄まっているのは事実ですが、なんだかんだ五線譜は読み書きできた方がいいよ、ということをお伝えしていきたいと思います。

しかし、「全ての音楽的な要素を五線譜で読み書きできるようにしろ」と言いたいわけでもありません。
今回はなぜ五線譜が読めた方がいいのか、ということ、そして、五線譜を読んで音楽を楽に楽しくするためのガイドを記事にしました。

 

 

 

目次

なぜ五線譜が必要?

先に結論から書いてしまいます。
五線譜が必要な理由は、「音楽理論の基礎であるピアノの発想と密接に結びついているから」です。

何度か私の記事ではお伝えしていますが、現行の音楽理論というものは、ピアノ的な発想が大本になって組み立てられています。
ピアノ的な発想とは何かというと、「Cメジャースケールを最も取り扱いやすいもの、理論の基準として用いる発想」です。

かつて中世のイタリアで、初めて名前が付けられた音が、今でいうCの高さの音から始まる「ドレミファソラシド」であり、音名がついた音階はその扱いやすさから爆発的に普及し、音楽のスタンダードになりました。

そもそもスケールというものは世の中に溢れているのに、当たり前のように世の中に「ドレミファソラシド」がどんな音か思い浮かべることができる人が溢れているのにはそういった理由があります。
別に人類が生まれてこの方ずっとスタンダードだったわけではなく、あるタイミングで爆発的に普及したからこその常識なのです。

例えば何かしらの原因でこのFドリアンという音階に「ドレミファソラシド」という名前がついていたとしたら、これがすべての基準になって音楽が作られていた可能性もあります。ちょっと不思議な響きに聞こえるかもしれません。

さて、五線譜に話を戻します。
五線譜で、音楽理論の大本であるCメジャースケールを書くとこのようになります。

音楽の教科書で目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
五線譜の形で書かれていることで、何となく「高い方へ上がっていく動きをしているな」ということは理解できます。「ドレミファソラシド」という音を一度聞けば、楽譜しかない状況でも、書いてある図形をもとに音を思い起こすことができます。

ここで、これをタブ譜表記に変えてみます。

…どうでしょう。
パッと見て音の動きがイメージできません。
TAB譜は演奏に特化した楽譜なので、音のイメージを自分の中に落とし込むというステップを踏むことができないのです。

和音に関しても見ていきましょう。

こちらはGというコードです。
五線譜で見ると、Gを一番下として、2つの音が団子のように上に重なっているという構造が直感的にわかります。
TAB譜表記するとこうなります。

こちらもまた、何か音が重なっているのはわかりますが、やはり数字の情報としてしか入ってきません。

音は五線譜を介して理解しないと、主に音の高低にかかわる領域がイメージしづらいのです。確かに、TAB譜でフレットの数字とリズムさえ示されていれば演奏することは可能です。
しかし、音の高さを自分の中に思い浮かべて歌うように演奏するということができません

この、「心の中で歌う」という抽象的な力を、「ソルフェージュ能力」と言います。
数字や楽譜の情報をただ単に正確に追いかけるだけの自動演奏が心に響かないのは、これがないからです。
人間は自然と音の高さに応じて情緒を表現する能力を備えており、それを支えるのが五線譜のように直感的に音の高さが示されている形態なのです。

もちろんTAB譜を使うなと言いたいわけではありません。
ギターがある程度上達したとしても、やはり数字とリズムの情報で演奏ができるという形態は便利に感じるものです。

重要なのは、五線譜という「回路」が頭の中に存在し、そこを少しでも自分の中の音楽が通るようにすることです。

また、別の記事でもお伝えした通り、理論的なことを把握するにはキーボードが手元にあることが一番いいので、五線譜の回路を作るオトモとして是非リーズナブルなものを購入してみてください。

 

五線譜の読み方

五線譜の必要性をお伝えしたうえで、五線譜の読み方の説明に移っていきます。
あれだけ必要性を訴えたにもかかわらず「ちょっとこれはどうなんだろう」みたいな仕様もあることにはありますが、根気強くやっていきましょう。

まず、五線譜というものはそもそも「どの線がどの音か」ということを一つ示してくれないと読むことができません。
つまり、Cメジャースケール、「ドレミファソラシド」のうちどれか一つの位置がわからないことには始まらないのです。

それを決めるために必要になってくるのが、おなじみト音記号、ヘ音記号です。
ト、ヘとは、「ドレミファソラシド」の日本語版、「ハニホヘトイロハ」の中の音名をさします。
トはソ、Gに、ヘはファ、Fにそれぞれ対応します。最初のグルグルで「ここがトです」「ここはヘです」ということをそれぞれ示しています。

一般的にト音記号は比較的高い音域、ヘ音記号は比較的低い音域を表記するのに使います。
ここからはト音記号のみを用いて解説していきます。
ト音記号がこのように書かれている場合「真ん中の線に乗っかる音がト=ソです」という意味になります。

そしてここから上と下にドレミファソラシドが広がっていきます。
音符を書く場所としては二パターン存在し、線と線の間か線の上です。
五線だけでは足りなくなった場合追加の線が引かれます。

音符を書く場所一つ一つには、Cメジャースケールで数えて一個分の音が対応します。
「何でドが基準なのにドの場所を書かないんだ」と思われた方もいるでしょう。
実際、「ハ音記号」という、ドの位置を示す記号も存在します。
しかし、スケールというものは上だけでなく下にも広がっていくものですから、結果としてスケールの真ん中あたりにあるソやファの位置を示す方が見やすくなるのでしょう。
これに関しては憶測でしかありません。

そして、ここに書かれた音符に#や♭がつくことで、すべての音が表記可能になっているのです。

練習として、いくつか実際に読んでみましょう。

 

 

 

五線譜の苦手なところ

この章では、五線譜のわかりづらいポイント、五線譜の苦手とするところを書いていきます。

五線譜は先述の通り、Cメジャースケールの存在を前提として作られ、また書かれてきたものです。
「五線譜上での」音の最小単位は、五線譜の音符の領域一つにつきCメジャースケールの音一つです。

しかし現行の音楽理論における音の高さの最小単位は、「半音」と呼ばれるものとなっています。
これは、端的に言うと一オクターブの高さを十二等分し、その一つを高さの最小単位とするという考え方です。
(等分という言い方は正確ではありませんが)

ピアノの隣り合う鍵盤、ギターの隣り合うフレットが「半音」の関係になっています。
つまり、五線譜の最小単位であるCメジャースケールとは根本では無関係な成り立ちを持つ最小単位が一般的なものとして使われているのです。

これでどういった問題が起きてくるのか。
こちらは、五線譜に書いた「ミファソラ」です。
一見楽譜では等間隔に並んでいるように見えます。

しかし、鍵盤をよく見てみてください。

ミとファは半音の関係なのに対し、ファソラは半音二つ、全音と呼ばれる関係になっています。
このことが楽譜から読み取れないのです。
これは、「ミファ」「シド」が半音の関係になっている、Cメジャースケールを基準にしたがための現象です。

これにより、直感的に理論的なことが理解しやすい五線譜にもいくつか弱点が生じます。例えば、音程の開き方。

楽譜上で見ればすべて同じ開き具合をしているように見えるのですが、これを半音で数えてみると…

御覧の通り、ファとシ、つまりスケールで四番目の音と七番目の音の間だけ他の四度よりも半音一つ増えています。
この音程を「増四度」といいますが、こればかりは五線譜を見て、
「四度の形に開いていて、このスケールで四番目の音と七番目の音が書いてあるから、増四度だ」
という面倒なステップを踏むしかありません。

メジャースケールが等間隔な音階でない以上こうなってしまうのは仕方のないことです。
完全五度と完全四度をすべて暗記してしまうこと、各メジャースケールで四番目と七番目の音がそれぞれどこかということを覚えて少しずつ慣れていくしかありません。

この表記と理論での最小単位の違いというものは、例えるならば、ヤードポンド法とメートル法の違いにアメリカ人、イギリス人が困惑するようなものです。
今から半音と全音が区別できる形に直すといっても、音楽がその地位を確実なものにしたバロック及び古典派の時代のスタンダードが五線譜で書かれてしまっているわけですから、流石に厳しい部分があります。

しかもやはり優先順位でいうと「スケールが書きやすい」ということが上に来るので、世の中の音楽がこんな音楽ばかりにならない限り五線譜の歴史が終わることはありません。

仮に最小単位を統一したとしたら線が六本必要になります。(六本にそれぞれ線の上と間が存在)それはそれで書いてみても面白いと思うので、時間があれば実践してみたくもあります。

音楽のほぼ大前提とされている五線譜ですらこんなにわかりづらいのですから、TAB譜のみで理論をつかむのはもっと大変になります。
これが以前も書いた、「音楽理論は理系科目ではなく英語に近い」ということの理由にもなります。
半音というデジタルな単位で語ることはあまり意味がなく、「パッと見て何度離れているか」がまず大事で、その上で減、増、完全、長、短の情緒が決まってくるという、いわばアナログなパターン暗記が大事になってきます。

結局のところアナログな把握の仕方をするには五線譜が一番優れているのです。



まとめ

五線譜の弱点も示しつつ、五線譜を覚えたほうがいい理由を説明してきましたが、いかがだったでしょうか。

お伝えしたかったことを端的にまとめると「直感的に、アナログに捉えるということを大事にしよう」ということです。その考え方さえ出来ればTAB譜だけでも問題ないのですが、やはり五線譜がもっとも適しています。

全てを五線譜で管理するのはさすがに非効率です。
あくまで五線譜という「回路」を頭の中に持っておくと非常に便利です。

今までTAB譜だけで理解を済ませていた、五線譜が解説に出てきたら回れ右していたという方も、今一度チャレンジしてみてください。

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