フィンガードラムはトラックメイクだけでなく、ライブパフォーマンスにおいても多く使われていることから、注目を集めています。自宅でも気軽に演奏することができ、アコースティックドラムにはない魅力もあるため人気を博していますが、フィンガードラムという言葉を聞いたことがあっても、概要をよく知らない方は多いのではないでしょうか。
そこで、本記事ではフィンガードラムの基礎知識や魅力、演奏スタイルなどについて解説します。初心者にもおすすめできるフィンガードラムパッドも紹介しておりますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
フィンガードラムとは
フィンガードラムとは、音色を割り当てたパッドを押して、電子的にドラムの演奏を行う手法です。フィンガードラムのルーツは、AKAI「MPC」というサンプラーにあるといわれています。MPCは、16個のパッドに演奏情報を入力することによって曲を作成できるサンプラーであり、主にHIP HOPなどのジャンルで使用されていました。
元々は楽曲製作を目的として設計されたMPCですが、機能性の向上や小型化に成功したことで、ライブパフォーマンスで使用する人が現れる傾向にあります。このようにして、フィンガードラムというスタイルが徐々に確立されていきました。
現在では、さまざまなメーカーからフィンガードラムが演奏できる機材やアプリがリリースされており、ライブハウスやクラブでのパフォーマンスなどにも用いられています。
フィンガードラムの魅力
・設置スペースをとらず、音量調整も可能
アコースティックドラムの場合、設置スペースや騒音の問題から自宅での練習が難しい場合があります。しかし、フィンガードラムであれば機材が小さいため、広いスペースを確保する必要がありません。また、音量調整も可能であり、夜間に大きな音を出すことができない方でも演奏することができます。
さらに、機材は小さくて軽いものが多いため、持ち運びにも便利です。誰でも気軽に始められるという点は、フィンガードラムの大きな魅力といえるでしょう。
・さまざまなサウンドをミックスすることで、幅広い表現が可能
フィンガードラムは、指でパッドのボタンを押すとドラムのサウンドを出すことができます。また、ドラム以外にもさまざまな楽器の音を出すことができ、一人でバンドのような演奏を行うことも可能です。
さらに、サンプリングによって音源をアレンジし、新たな音楽を生み出すこともできます。音源を再構築し、自分好みのサウンドを形成できる点は、アコースティックドラムにはない独自の魅力といえるでしょう。
・ライブパフォーマンスでも人気
フィンガードラムは、操作方法やサンプリングによって幅広い表現が可能です。また、ライブでは実際にリズムを作成していくプロセスを見せることができ、近年は大きな盛り上がりを見せています。トラックメイカーたちによるパフォーマンスバトルなども開催されており、フィンガードラムの文化は今後も発展を続けていくことでしょう。
フィンガードラムの演奏スタイル
・電子ピアノとMIDIキーボード
DTM(Desk Top Music)ソフトを使ってフィンガードラムを行う際は、MIDI信号を送信できるデバイスがあれば問題なく使用できます。そのため、MIDIキーボードを利用して演奏することも可能です。さらに、ドラム音源を内蔵している電子ピアノも、フィンガードラムに使用できます。電子ピアノやMIDIキーボードを既に持っている方は、それらのキーボードも活用してフィンガードラムを楽しんでみてください。
・DTMソフトとMIDIパッド
フィンガードラムは、DTMソフト上でMIDIパッドを設定し、音源を割り当てて演奏するスタイルが一般的です。使用するモデルによってパッド数は異なり、16パッドや64パッドのMIDIパッドが主に使われています。また、パソコン上で各パッドに音源を割り当て、自分にとって演奏しやすい配置にカスタマイズすることもできるため、自由度が高いスタイルといえるでしょう。
・スタンドアローンに対応したサンプリングパッド
スタンドアローンにも対応しているサンプリングパッドを使えば、パソコンがない環境でもフィンガードラムを行うことが可能です。外出先でも気軽にフィンガードラムを楽しめるため、さまざまなシーンで活用できるでしょう。
また、サンプリングした音源の編集ができるパッドもあります。使い勝手や必要な機能は異なるため、自分の目的や予算を確認したうえで、適切なモデルを検討していきましょう。
・アプリ「Garage Band」
iOS専用アプリの「Garage Band」を使えば、画面をタップしてフィンガードラムを楽しむことが可能です。アコースティックドラムキットとエレクトリックドラムキットがあるため、直感的な操作で演奏することができます。
また、iOS対応のMIDIパッドを接続すれば、パソコン上でレイアウトを変更することもできるため、使い勝手や手の大きさに合う配置にして演奏を楽しむこともできます。iPhoneやiPadを持っている方は、まずはアプリで気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。
初心者にもおすすめのフィンガードラムパッド
・YAMAHA「FGDP-30」「FGDP-50」
2023年9月にYAMAHAから発売された「FGDP-30」と、その上位機種である「FGDP-50」はフィンガードラム専用のパッドです。フィンガードラムはパソコンやソフト、MIDIパッドなどを用意する必要がありますが、初心者には少し敷居が高いと感じる方もいるかもしれません。
こちらのフィンガードラムパッドはセットアップや接続が不要なスタンドアローン設計となっており、スピーカーや充電式バッテリーも内蔵されているため、購入後すぐにフィンガードラムを楽しむことが可能です。さらに、パソコンに接続すればソフトウェア音源やサンプリング音源を鳴らすことができ、クリエイティブな演奏を行うこともできます。
「FGDP-50」には1,500種類の音色と48種類のプリセットキット、「FGDP-30」には1,212種類の音色と39種類のプリセットキットが搭載され、自分の好きな音色を組み合わせたカスタムキットも作成できます。
また、上位機種「FGDP-50」には、よりクリエイティブな演奏を楽しめる機能が搭載されています。USBに保存した音源をパッドに割り当てて演奏できる機能や、ギターやベースのフレーズを再生してセッションできる「Session Creator」などが備わっており、さまざまな楽しみ方ができます。初心者から上級者まで幅広い方に対応できるモデルとなっていますので、ぜひチェックしてみてください。
・AKAI「MPD226」
「MPD226」は、サンプラーの「MPCシリーズで」有名なAKAIから発売されているパッドコントローラーです。コントロールノブやフェーダー、ボタンが4つずつ配置され、多彩なサウンドを1台で調整することができます。16個のパッドにはバックライトがついており、DAWソフトの操作も簡単に行うことが可能です。
また、WindowsとMacの両方に対応しており、USBケーブルを接続するだけで使用することができます。さらに、別売りの接続機器を用意すれば、iPhoneやiPadにも接続できるため、携帯性を重視する方にもおすすめです。
なお、「MPD226」はパッドコントローラーであり、サンプラーとして使用することはできないため、購入時は注意しましょう。
・IK MULTIMEDIA「Rig Pads」
IK MULTIMEDIA「Rig Pads」は、約20cmのコンパクト設計で、どこでも気軽に持ち運べる点が魅力のMIDIパッドです。16個のパッドには、ベロシティ(音の強弱)に応じてカラーが変化するバックライトがついており、豊かな表現が可能となっています。
また、WindowsやMacに接続するUSBケーブルが付属されているため、接続ケーブルを別途購入することなく、すぐに使用することができます。さらに、iPhoneやiPadにはLightningケーブルで接続できる点も大きな魅力です。
持ち運びにも便利で、iOSデバイスとの接続が簡単なパッドを探していたという方は、こちらの「Rig Pads」を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、フィンガードラムに関する基礎知識や魅力、初心者にもおすすめのパッドなどについて解説しました。フィンガードラムは、ライブハウスやクラブでのパフォーマンスにも使用され、近年注目を集めている演奏スタイルです。初心者の方でも気軽に始めることができます。本記事を読んで興味を持った方は、ぜひフィンガードラムを楽しんでみてください。