バンド、DTMやるならクラシックも聴こう 〜⓪クラシックを聴くと「センスが良くなる」?〜

目次

バンド、DTMやるならクラシックも聴こう 〜⓪クラシックを聴くと「センスが良くなる」?〜

こんにちは。コロイデア音楽塾にて音楽理論講師をしている加藤龍太郎です。ライブの際は主にポップスのステージでキーボーディストをしていて聴く音楽もポップスが中心ですが、音楽科の作曲専攻の大学生でもあったので、クラシックにも触れる機会が多くありました。(詳しくはこちらの自己紹介記事をご覧ください。)

正直高校の時はクラシックよりポップスの方が面白いと思って吹奏楽部ではなく軽音楽部に入ったわけですが、ポップスをきっかけに音楽理論を学んだり音楽のジャンルを色々と知ったりした上でクラシックに戻ると…これが思いのほか面白かったのです。

クラシック音楽は食わず嫌いをしてしまっている方や、「なんとなく落ち着く音楽」みたいな感じで一括りにしてしまっている方も多くいらっしゃるかもしれません。

しかし是非そんな方々にこそクラシックを聴いてみてほしい!…ということで、本記事から、ポップスの視点も織り込んだクラシック音楽解説を不定期連載していきます。

本記事では、 いきなり具体的なクラシック楽曲の解説に入る前に、「ポップス畑の人間がクラシックのことなんか知って何のメリットがあるんですか?」という疑問を解決したいと思います。

結論、クラシックを聴くと、センスが良くなります。本当です。

加藤龍太郎講師が教えている音楽塾はこちら

そもそもクラシックって何?

クラシックのメリットについて知る前にまずここが重要ですね。

コトバンクにはこう書いてありました。

西洋の伝統的な作曲技法や演奏法による音楽。一般にジャズやポピュラー音楽に対して、バロック音楽あるいは古典派音楽から近代、現代に至る芸術音楽の総称として用いる。クラシック音楽。純音楽。

引用元:コトバンク

私の記事ではひとまずこの「西洋の伝統的な…」という部分を重要視します。

「伝統的な音楽」とはつまり「過去からのつながりを守るために大勢の大人が躍起になる音楽」です。何か聞こえが悪いですが別にdisではありません。

ここで一つ注意点があります。

「『西洋の昔の曲』が全てクラシックである」というのは誤解です。別に西洋にも、「伝統的じゃない」音楽はたくさんありました。

一旦日本に置き換えて考えてみましょうか。日本の「歌舞伎」は、「〇〇代目市川團十郎」のような「名跡」をはじめとして江戸時代から続く文脈に支えられている「伝統」芸能です。

しかし「JPOP」はその呼び名自体が30年ほどの歴史しかなく、「伝統」とは言えませんし、そのやり方が統一されていない時点でそもそも「伝統」を目指してもいません。今のJPOPと10年前のJPOPは、聴いてすぐわかるほどに形が変わっていますよね。

西洋の昔の曲にも、そのように「形が変わっても何か楽しいし構わない」みたいな感じで受け継がれてきた歌はたくさんあります。フランスの歌曲「シャンソン」とかがそうですね。そのあたりは「クラシック」とは言えないわけです。

クラシックのゴリゴリ正統(東京藝大)出身の坂本龍一さんが幅広いジャンルを作曲されていたように、西洋にもクラシック音楽家がシャンソンを作った事例が沢山ありますが、「シャンソンは西洋の昔の音楽だからクラシックである」と言ってしまうと間違いになります。

ではクラシックは一切変化しないのかと聞かれると、そうでもありません。当然クラシックも歴史と共に変化してきて、どんどん新しい形になっています。

しかし、あくまでその全てが「過去のクラシックに対してのカウンター」であり、同じ文脈の上にいるのです。

子供が親にどれだけ反抗して髪型や服装を奇抜にしようが同じ家系図の一本の線の中にいるみたいな感じです。どれだけ形が変わろうと「クラシック家」の線がつながっているのであれば、それはクラシックなのです。他方ポップスなんかは家系図がそもそも書けなかったりします。

色々書きましたが、要するに「過去からずっと受け継がれてきた伝統」というのがクラシックの定義において大事な部分です。

以下、「クラシック」とみたら、「西洋の伝統音楽」と翻訳して頂ければOKです。では、本題の「クラシックを聴くメリット」について、解説していきます。

クラシックを聴くメリット「センスを磨ける」

センスのいい自分でいたいですよね。いつでも、人間はそう思って生きているものだと思います。

しかし、突然ですが皆さん、「『センス』とは何か?」と聞かれて、スッと答えが出るでしょうか?センスを磨きたいとは思いつつ、肝心のそれは実体がないため掴めない。どうやって磨いたらいいかわからない…モノづくりをやろうとする人に共通の悩みかと思われます。

実はこれを解決してくれる一つの手段がクラシックに触れることなのです。

「西洋で長く受け継がれてきた」ということが何を指すか。西洋は日本とは違って国同士が陸続きですから、歴史上国同士の戦争やそれに伴う政治の変革が多くありました。日本以上に「音楽どころじゃねえ!」という場面を沢山経験してきたのです。そんな中でも守られてきた音楽がクラシックです。

つまり、「多くの権力者、民衆の共感を得てきた」のがクラシックなのです。今のあなたが聴いて共感できるかどうかは一旦抜きにして、「クラシック」なるものが今この世にあるということは、少なくとも過去の多くの人はそれに感動や喜びを覚えた事実を示しています。

ここで「センス」の話に一旦戻ります。「センスが良い」は色々解釈のしようがありますが、その中の一つに、「多くの人に共感してもらえる」というのがあるんじゃないでしょうか。しかも、「共感してよ!」と尻尾を振るのではなく、ただ淡々とこなしているだけなのに人が集まってくる…みたいな。

クラシックの世界に作曲家および演奏家として身を置くということは、過去からの文脈をしっかりと引き継ぐ責任や、多くの権力者、民衆の期待を裏切らず、あるいは良い意味で裏切って共感してもらう責任を持つということです。

そんなスーパー責任重圧な使命を跳ね除け、さらにその名を世界に轟かせてしまうような人たちが「センスが悪い」わけがないですよね?クラシックにおいては、作曲家も演奏家もその時代において相当なハイセンスの持ち主で、彼らがいたからこそクラシックが何百年も支えられてきたのだと言えるでしょう。

そしてとあるハイセンスな天才に次の世代が影響を受け、もっとハイセンスなやつが頭角を表し…なんだかロックやポップスの歴史にも似たところがありますよね。

つまりクラシックに触れることは、「クラシックを守ってきた超ハイセンスな天才」のエッセンスに触れることなんです。

センスを磨くためには、沢山センスが良い人の作品に触れることが大事になります。しかし「センスが良い」というのは、時代がある程度進まないと確定しない評価でもあるのです。

出典が不明なのですが、シンガーソングライターの山下達郎さんが、若者の「昔の日本は名曲が多くていい」といったコメントに対し、

「昔はいい曲ばかりというのは間違いだ。箸にも棒にもかからない曲も沢山あった。時代を経て残ったのが良い曲だっただけ。」

といった趣旨のコメントをされたことがあったようです。この発言自体が事実かはさておき、説得力ありますよね。

良いものは時間が経っても残り、そして残るということは、例え過去のものであれど多くの人が共感できるということなのです。

クラシックは、もう十分すぎるほどに時間による選別を受け、残る人の名前は残り、消える人の名前は消えた状態です。

今のポップスというのは玉石混交で、時には聴く価値のないような曲もありますが、Youtubeで「クラシック」と調べるだけで、「超ハイセンスな天才たち」の音楽がズラっと並んだ状態になるのです。

かつての人々がめちゃくちゃお金と時間をかけてでも聴こうとした、その時代においての超ハイセンスな音楽を無料でいくらでも聴ける。しかも、今の時代にも残っているということは、今聴いても共感、感動できるかもしれない…そう意識し直してみると、今すぐクラシックを聴きたくなってきませんか?

月光第三楽章 ピアノソナタ/ベートーヴェン/Beethoven/Moonlight Sonata(3rd Movement)/Classic Piano/クラシック/CANACANA

まとめ

今、とりあえず別のタブでYoutubeを開きクラシックを再生してくれている人が一人でもいるととても嬉しいです。
まとめると、「昔から続いてるってことはそれなりの質が保たれてるんだからともかく聴いてみて!」ということですね。
とは言え、「どう聴いたら楽しめるのかわかりません…」「全部同じに聞こえます…」といった意見ももちろんわかります。
そんな方々に少しでもクラシックを楽しんで頂けるよう、次回以降の記事では具体的な楽曲を扱いながら、クラシックの楽しみ方や、いかにクラシックの作曲家、演奏家のセンスがヤバいかを解説していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。良き音楽ライフを!

音楽教室に通うのは敷居が高いと感じたら・・・

ギターパフォーマーKatzuyaが主催するコロイデア音楽塾のオンライサロン。
基礎的な音楽知識・技術からステージ映えするパフォーマンスの極意、誰もが憧れるアーティストのリックをレクチャー形式で紹介。
費用はたったの500円でちょっとしたスキマ時間や学生さんにおすすめ!

オンラインサロンだけの特別コンテンツも豊富にご用意!


詳しくはこちらをチェック!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次