ベースの奏法はどんな種類がある?各奏法の弾き方や音色の特徴を解説

ベースはバンドのリズムを支え、縁の下の力持ちとして人気がある楽器です。見た目がギターに似ているため、同じような奏法をすると思う方もいるかもしれませんが、ギターとベースでは奏法が異なります。また、ベースにはさまざまな奏法があるため、それぞれの特徴や違いを知っていれば幅広い表現が可能になるでしょう。

そこで、本記事ではベースの奏法について、各奏法の手順や音の特徴などを解説します。

目次

ベースの奏法は主に4種類

・フィンガー奏法

フィンガー奏法とは、指を使って弾く奏法のことです。多くのベーシストが行っている一般的な奏法のひとつであり、さまざまなジャンルで使われます。また、人差し指と中指を使って弾くことを「ツーフィンガー奏法」、薬指も使って弾くことを「スリーフィンガー奏法」と呼び、ベース初心者の方はツーフィンガー奏法から練習するのが一般的です。指の腹の部分を使って弾くため、やわらかくて丸みのあるサウンドを出せるのが特徴となっています。

・ピック奏法

ピック奏法は、ピックという弦をはじくための道具を使って弾く奏法です。フィンガー奏法にならび、使っているベーシストが多い奏法で、強めのアタック音を出すことができます。

そのため、主にロックやパンクなどのジャンルで好んで使われる奏法です。また、使用するピックの形状や材質によって音質が変わるため、同じ弾き方でも変化が感じられる奥深い奏法といえるでしょう。

・スラップ奏法

スラップ奏法とは、弦を指で叩いたり引っ張ったりすることで、打楽器のようなパーカッシブなサウンドを作り出せる奏法のことです。バンドを影で支えるイメージのベースですが、スラップ奏法を行うことで主役のような存在感を放つことができます。そのため、スラップ奏法に憧れてベースを始めたという方も多いのではないでしょうか。

スラップ奏法は、アメリカ人のベーシストであるラリー・グラハム(Larry Graham) が生み出したといわれています。バンドからドラマーが脱退してしまい、ベースだけでドラムのリズム感も表現するために考案したのがスラップ奏法だったそうです。現在ではベースの花形的な奏法であり、幅広いジャンルで使用されています。

・タッピング奏法

タッピング奏法とは、指板上の弦を指で叩いたりスライドさせたりすることによって音を出す奏法のことです。ライトハンド奏法とも呼ばれ、弦を指で叩く「ハンマリング」や、弦に指を引っかけて音を出す「プリング」を組み合わせることによってフレーズを作ることが多くなっています。タッピング奏法を行うには高いスキルが必要になりますが、マスターできれば高速で音を出すことができ、他の奏法にはできない表現が可能になるでしょう。

自分にあったベース奏法の選び方

・演奏するジャンルによって選ぶ

ベースが上達するためには、自分に合う奏法を選択して練習することが重要です。また、奏法によってベースの音質は変わります。どの奏法が適切なのかしっかり検討しましょう。

まず、自分が演奏する楽曲のジャンルによって選ぶということが大切です。自分が演奏するジャンルが決まっているのであれば、そのジャンルに適した奏法を知っておきましょう。

例えば、フィンガー奏法はやわらかくて丸みのある音を表現できるため、ポップスやR&B、ジャズなどのさまざまなジャンルに向いている奏法です。一方、ピック奏法はアタック音が強調されたハッキリとした音が特徴となっているため、ロックやパンクなどで主に使用されています。

このように、奏法によって得意とするジャンルが異なります。ひとつの奏法しか使わないプロのベーシストもいますが、自分が演奏するジャンルが決まっている方は参考にしてみてください。

・自分の好きなベーシストを参考にする

ベースの奏法を選ぶ際には、自分の好きなベーシストを参考にするのもひとつの方法です。ベースにはさまざまな奏法があるため、どれが自分に合うか分からずにいる方も多いのではないでしょうか。

このような場合は、自分の好きなベーシストがどの奏法を使っているのかチェックしてみましょう。同じ奏法を選択し、表現方法を真似することができれば、上達スピードやモチベーションアップにもつながるかもしれません。

・自分にとって演奏しやすい奏法を選ぶ

ベースにはフィンガー奏法やピック奏法、スラップ奏法やタッピング奏法がありますが、実際に弾いてみて自分が弾きやすいと感じた奏法を選んでみましょう。

なかでも、フィンガー奏法とピック奏法は使っている方が多く、幅広いジャンルに対応できます。スラップ奏法やタッピング奏法は独自のスキルが必要ですが、マスターすればソロパフォーマンスもできる華やかな奏法です。まずはそれぞれの奏法を実際に試し、自分に合った奏法を選択していきましょう。

フィンガー奏法の弾き方

フィンガー奏法は「指弾き」とも呼ばれ、オーソドックスな奏法のひとつです。指を使って直接弦をはじくため強弱をつけやすく、幅広い表現が可能という点が魅力といえるでしょう。

ベース初心者の方は、まず人差し指と中指を使って弾く「ツーフィンガー奏法」から練習することをおすすめします。

フィンガー奏法では、親指をピックアップか弦の上に乗せ、人差し指と中指を使って弾いていきます。フォームは人それぞれ違いがありますが、自分が弾きたい弦のひとつ上のポジションに親指を置くことが一般的です。

例えば、4弦を弾く場合は親指をピックアップの上に置き、2~3弦を弾く場合は4弦に親指を置きます。このように、どの弦を弾く場合でも2本の指と親指の間隔が一定になることで、フォームが安定しやすくなります。ただし、親指は常にピックアップの上に置くという弾き方もあるため、自分が弾きやすいフォームを探してみてください。

また、人差し指と中指は長さが違うため、そのまま弾くと音量にバラつきが生じるという問題があります。そこで、指を少し斜めにおろすことで、指の長さを揃えることが可能です。練習を重ねていけば、指を真っ直ぐおろした状態でも音量が揃うよう調節できるようになりますが、最初は指の長さを揃えて練習してみることをおすすめします。

ピック奏法の弾き方

ベースで使うピックは、ティアドロップ型やトライアングル型など、さまざまな形があります。ピックは材質や厚みによって音色が変わります。また、ベース用のピックがあるわけではないため、自分の好みに合うものを選んでも問題ありません。なお、ピックは親指の腹と人差し指の側面で挟むようにして持ちましょう。

ピックを弦にあてる際は、弦に対して直角になるよう意識してください。ピックを斜めにあててしまうと、ピックが弦にこすれてノイズが出てしまうこともあるため注意しましょう。また、ピッキングする位置によっても音の印象は変わります。ネック寄りの部分を弾くとやわらかい音になり、ブリッジ寄りの部分を弾くとはっきりとした音が出るのです。

なお、ピック奏法には、下に向かってピックを振る「ダウンピッキング」と、ピックを下に振った後に上に向かって振る「オルタネイトピッキング」があります。ダウンピッキングはリズムや音量が安定しやすいという点がメリットですが、テンポの早い楽曲だと対応できない場合があるため注意が必要です。

一方、オルタネイトピッキングは上下にピックを振って音を出すため、早いテンポの楽曲でも対応できますが、音量のバランスを揃えるのが難しいという問題があります。

どちらの奏法も、最初はリラックスした状態で手首や肘を動かせるよう意識し、正確に音が出るようにゆっくりとしたスピードで練習を続けていきましょう。

スラップ奏法の弾き方

スラップ奏法は、弦を叩いたり引っ張ったりすることで、独特なグルーヴを生み出せるベースの花形的な奏法です。親指で弦を叩くスラップには2種類あり、ひとつは親指を横向きにすることで弦を叩きます。こちらが一般的なスラップの弾き方であり、親指を弦にバウンドさせるようなイメージで弾くことで、スラップ奏法独特のパーカッシブな音を出すことが可能です。

もうひとつは親指を下向きにして弦を叩く方法で、こちらはよりパワフルな音を表現したい場合に使用されます。また、親指で弦を叩き、下の弦で親指の勢いを止めることを「サムダウン」といいます。そして、親指で下から弦を引っ張って音を出すことを「サムアップ」といい、サムダウンとサムアップを組み合わせることでピック奏法のような演奏が可能になるのです。

その他、人差し指で弦を引っ張って音を出すことを「プル」といいます。中指や薬指も使ってプルを行うことができれば、より幅広い表現ができるようになるでしょう。

スラップ奏法は独特の技術が必要になるため、人によっては習得に時間がかかるかもしれません。しかし、習得すればベースソロなどもできるようになるため、スラップ奏法に憧れている方はぜひチャレンジしてみてください。

タッピング奏法の弾き方

タッピング奏法は、ギターのように高速で音を出すことが可能であり、見た目が派手なためベースソロでも使用される奏法です。タッピングの方法はいくつかありますが、右手の人差し指を使う方法が一般的となっています。中指や薬指も使うと出せる音の数は増えますが、難易度も上がるため最初は人差し指から練習してみましょう。なお、弦を叩く位置はフレットの近くになるように意識してみてください。

ベースの中でも比較的高難易度な奏法ですが、マスターすればタッピング奏法でしか表現できない滑らかな演奏が可能になります。まずは使用する弦や指の数を絞り、何度も反復練習を行うことで上達を目指していきましょう。

まとめ

今回は、ベースの奏法の基礎知識や各奏法の音の特徴などを解説しました。ベースにはさまざまな奏法があり、どれを選ぶのかによって音色や表現の幅は異なります。本記事を参考にしながら、それぞれの特徴をしっかりと把握し、自分にあったベースの奏法を探してみてください。

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