ギターとベースは演奏方法や見た目や似ていますが、両楽器にはさまざまな違いがあります。また、どのような違いがあるのかを把握することで、自分にはギターとベースのどちらが向いているのかを知ることができるでしょう。今回の記事はギターとベースの違いについて、構造や音域、バンドにおける役割などの観点から解説します。
ギターとベースの構造上の違い
・弦の本数
まず、ギターとベースでは弦の本数が違います。基本的に、ギターは弦が6本で、ベースは4本です。
しかし、7弦や8弦といった多弦ギターや、5弦や6弦の多弦ベースも存在するため、弦の本数だけでギターとベースを見分けられないこともあります。そのため、「これは弦が6本だからギターだ」と思ったものが、実は多弦ベースだったということもあるかもしれません。
弦の本数が増える分対応できる音域が広がるため、自分が主に演奏したい音域からギターやベースを選ぶという方もいます。
・弦の太さ
ギターとベースでは、弦の太さも違います。弦はそれぞれ太さが異なりますが、ギターの場合は最も太い弦で1.3mm程度であることが一般的です。一方、ベースの最も太い弦は2.5mm程度となっており、ギターの弦と約2倍もの差があります。
ベースの弦は太いため押さえるのに力が必要であり、始めたての頃は薬指や小指の力が弱くて綺麗な音を出すことが難しいかもしれません。ただし、ギターソロのようにスピーディーな弾き方や、同時に複数の弦を押さえるということはほとんどありません。
・ボディやネックのサイズ
ギターとベースは似たような大きさに見えますが、実はボディの大きさやネックの長さにも違いがあります。一般的に、ギターは全長が100cm程度となっているのに対し、ベースは115cm程度と15cmもの差があります。特に、ネックの長さに大きな差があるため、楽器初心者の方は実物を見比べてみると差を把握できるでしょう。
また、大きさの違いに伴って、ギターよりベースの方が重量も重くなります。基本的に、エレキギターは3.5kg程度、エレキベースは4kg程度となっており、女性がベースを選ぶ際はなるべく軽いモデルを選べば身体への負担が少なくて済むでしょう。
なお、小型軽量化されたミニベースという種類もありますが、それでもギターより大きくつくられることが一般的です。
ギターとベースの音域の違い
音域とは、最も低い音から最も高い音までの範囲のことです。ギターとベースの大きな違いとして、この音域の違いがあげられます。
基本的に、ギターやベースのような弦楽器は、弦が長くて太くなるほど低い音を出すことが可能です。また、ベースの方が弦は長く、太い弦が張られているため、ギターよりも低い音域をカバーしています。仮に同じポジションで弾いた場合、ベースの音はギターよりも1オクターブ低くなります。
さらに、フレットや弦の本数が多くなるほど音域は広くなるため、ギターのほうがベースよりも表現の幅は広いという特徴があります。そのため、ギターはメロディーラインやコード(和音)の演奏に適しているという点も違いのひとつです。
一方、ベースの音域ではコードが聴こえにくいため、基本的には単音のリズムを担当しています。
バンドにおけるギターとベースの役割の違い
ここまで解説してきたとおり、ギターとベースでは構造や音域などに違いがあることから、バンドにおいて両者が担当する役割も異なります。
まず、ギターはコードによる伴奏やメロディーラインを担当することが主な役割です。さまざまな演奏方法を駆使し、時にはギターソロも行うことでバンドに華やかさを加えています。
一方、ベースは楽曲の中で低音とリズムを担当し、曲全体の土台を支える役割を担っています。リズム隊として、ドラムとともにグルーヴを演出し、バンドの演奏に安定感や心地よさを加えているのです。また、ベースの低音は音源では聴こえにくいかもしれませんが、ライブでは建物や空間を振動させるほどの迫力をもたらします。
ベースの役割はギターに比べて地味だと感じる方もいるかもしれませんが、メロディーラインやコード演奏によるハーモニーは、ベースやドラムが作り出すリズムの土台があることによってはじめて際立つものです。
しかし、ベースだけでは華やかさを演出することはできません。ベースとギターは、お互いの特性を活かしつつ、楽曲の魅力を引き出しているのです。
ギターとベースの難易度の違い
ギターとベースの楽器難易度は大きく変わることはなく、各々好みや向き不向きもあるため、一概にどちらの方が難しいとは言えません。また、ギターとベースはバンドにおける役割や奏法、意識すべきポイントが違うため、単純に判断することは難しいと言えます。
まず、ギターは、コードやカッティングなどを覚える必要があり、ギターソロがある場合には難しいフレーズも弾かなくてはなりません。また、ギターはベースよりも弦の本数が多いため、弾かない弦はミュートしながら演奏するというテクニックも必要です。
そのため、ギター初心者の方が曲を演奏できるようになるには、時間かけて練習する必要があります。
一方、ベースは弦の本数も少なく、単音弾きで弾くことが多いため初心者向きだと思う方がいるかもしれません。しかし、バンドの土台を形成する役割があるため、ギターよりもミスが目立ってしまうことも。
ベースのリズムが不安定になってしまうと、バンド全体のリズムも不安定になってしまうのです。そのため、ベースはギターよりも正確性を求められる楽器といえるでしょう。
このように、ギターとベースの難易度は、条件や自分との相性などによって異なります。練習を続けていれば必ず上達していきます。自身が惹かれる楽器を選んで楽しみながら練習していきましょう。
ギターとベースに向いている人の特徴
・ギターが向いている人
ギターかベースを始めたい方は、自分にはどちらが向いているのか知りたいのではないでしょうか。
まず、一般的にギターが向いている人の特徴として「手先が器用である」という点があげられます。ギターは単音を連続して弾いたり、コードによる伴奏をしたりするため、細かな指の動きが必要になるためです。演奏方法によっても多彩な表現ができるため、手先が器用な方はギターに向いているといえるでしょう。
また、「かっこよく演奏することで、観客の視線を釘付けにしたい!」という方は、ギターを選んでみてはいかがでしょうか。
・ベースが向いている人
ベースは、バンドの土台を支える縁の下の力持ちのような存在です。そのため、自分が表に立つのではなく、裏から支えることに魅力を感じる方はベースを楽しく演奏できるでしょう。
また、バンドの魅力を引き出すためには、全体の音をよく聴く必要があります。他のパートの音や、ちょっとしたリズムのズレにも気づき、全体をサポートできる広い視野を持つ方にはベースがおすすめといえます。
ベースは突き詰めると奥の深い楽器です。探求心が強く、バンドの魅力を際立たせたいという気持ちが強い方は、ベースにチャレンジしてみてください。
まとめ
今回は、ギターとベースの違いについて、構造や音域、役割などの観点から解説してきました。一見すると似たような楽器ですが、その性質は全く異なることがご理解いただけたのではないでしょうか。ギターとベースにはそれぞれ違った魅力があり、どちらのほうが簡単であるかも一概には言えません。どちらを始めるか迷っている方は、今回の記事を参考にして自分が好きだと思える楽器に挑戦してみてください。