ギターの弦ひとつを見てもさまざまな素材や太さのものがあります。今回は、ギター初心者さんにとって役立つギターの弦の張り替えの方法や時期・種類・素材・値段相場の基礎知識を紹介します。ぜひ参考にしてください。
ギターの弦とは
ギターの弦は、音を出すために張られた糸状の部位です。ギターの弦の両端は楽器本体に固定して張られています。ギターは弦を弾くと糸状の素材が振動するため、規則的な倍音を鳴らして演奏することが可能です。
また、音が共鳴する仕組みはギターの種類で変わります。アコースティックギターの場合は、弦を鳴らすと振動がボディ内で響いて音が大きく鳴るようにできていますが、エレキギターの場合はアンプに接続して音を電気的に増幅して演奏します。
ギター弦の素材の種類
・ニッケル弦
ニッケル弦はエレキギター弦でよく使われるスタンダードな弦です。ピアノ線にニッケルを巻いて作られているため、サビに強く、しなやかで柔らかいのが特徴となっています。
・ステンレス弦
ステンレス弦は、ニッケル弦に比べて堅い素材の弦です。汗や汚れなどに強いのが特徴で、ニッケル弦よりも乾いたシャープなサウンドが出ます。
・ブロンズ弦
ブロンズ弦は一般的なアコースティックギター弦で多く使われる弦で、3~6弦(4~6弦)の太い弦にブロンズ(銅)が巻かれています。ブロンズ弦は硬いため、チョーキングやビブラートなどのプレイは難しく感じる方もいるでしょう。しかし、歯切れの良いサウンドが出るため、アルペジオなどを鳴らすと美しく響くのが特徴です。
・コーティング弦
表面に特殊なコーティングを行っている弦を、コーティング弦と言います。他の弦と比べると値段相場が比較的高いですが、通常の4倍は長持ちするため、約半年程度使用することも可能です。
・ナイロン弦
クラシックギターやガットギターに使用されるのがナイロン弦です。ナイロン製の弦は通常の弦に比べて非常に柔らかいため、サスティン(残響)は残りませんが、アタックが強くて温かみのある音を出しやすいのが特徴となっています。
ギター弦の太さの種類
6弦 | 5弦 | 4弦 | 3弦 | 2弦 | 1弦 | 備考 | |
ライト | 0.46 | 0.36 | 0.26 | 0.17 | 0.13 | 0.10 | 最もスタンダードな太さ |
スーパーライト | 0.42 | 0.32 | 0.24 | 0.16 | 0.11 | 0.09 | ライトよりも少し細め |
エクストラ・ライト | 0.38 | 0.30 | 0.22 | 0.14 | 0.11 | 0.08 | スーパーライトよりも さらに細い |
ミディアム | 0.49 | 0.38 | 0.28 | 0.18 | 0.14 | 0.11 | ブルース・ジャズギタリストに 人気のある太さ |
ライト・ヘヴィ | 0.52 | 0.42 | 0.32 | 0.17 | 0.13 | 0.11 | 4〜6弦はヘヴィゲージ 1〜3弦はライトゲージ |
ヘヴィゲージ | 0.52 | 0.42 | 0.32 | 0.24 | 0.16 | 0.12 | ダウンチューニングの場合に最適な太さ マホガニーなどの柔らかめのネックは 張力で曲がってしまう可能性があるので注意 |
ギターの弦の選び方のポイント
自分の理想に合うギターの弦の選ぶためには、「弾きやすい太さと素材を選ぶこと」が大切です。ギターの弦の太さと素材選びは、ギターそのものの弾きやすさや扱いやすさに直結する重要な要素になります。
まずは最もスタンダードな太さであるライトゲージ&ニッケル製の弦を選びつつ、そこから好みに合わせてギターの弦の太さや素材を調整していくのがおすすめです。
なお、筆者の場合は、音楽ジャンル的にドロップDなどのダウンチューニングをするケースが多いです。また、手軽にメンテナンスができることや、弾き心地のヘヴィさを重視して、ヘヴィゲージ+コーティング弦を選ぶことが多くあります。
このように、自分のプレイする音楽のジャンルや、ギターの弦に求めることが明確になってくると、自分好みの弦の組み合わせを見つけることができるでしょう。
ギターの弦の張り替え方法
ストラトやレスポールなどのスタンダードタイプの張り替え方法
- まずは古い弦を緩める
- ニッパーで古い弦をカット
- 古い弦を外す
- 新しい弦をブリッジに通す
- 任意の長さで新しい弦をカットする
- 弦の先端をペグに差し込んで折り曲げる
- 指で押さえながらペグの下に巻き込んでいくイメージで弦を巻く
- チューニングを行って完成
フロイドタイプ(ロック式)の張り替え方法
- トレムブロック(ブリッジの固定器具)を挟む ※ない場合は1本ずつ弦交換する
- ロックナットを外す
- 弦を緩めて古い弦をカットする
- ブリッジを浮かせてストリングロックスクリューを回して弦を外す
- 新しい弦のボールエンドを切り取る
- カットした側をブリッジに差し込み、ストリングロックスクリューで固定する
- ペグに弦を通して、余った部分をカットする
- チューニングをして、安定してきたらロックナットで固定する
- トレムブロックを外して、ファインチューナーで最終調整をして完成
ギターの弦を張り替える時期
ギターを張り替えは最低でも1ヶ月に1回程度行うのがおすすめです。弦交換する時にフレット掃除も行うと、ギターを演奏しやすい状態に保つことができるでしょう。また、湿気が多くて弦が傷みやすい梅雨から夏の時期は、2週間に1回は弦を交換する必要が生じるかもしれません。
弦が古くなってくると「指の滑りが悪くて運指しにくい」「チューニングが合いにくい」「音がこもって伸びない」「チョーキングしにくい」などの不具合が多数出てくることがあります。不便さを感じたらその都度、弦の交換とフレットの掃除を行うようにしましょう。
ギターの弦が売っている場所とは
ギターの弦は以下の場所で買うことができます。
- 楽器店
- ショッピングモール
- 大型雑貨店
- ディスカウントショップ
- インターネット通販
インターネット通販であれば、品揃えが豊富なため、さまざまな種類の弦を取り揃えることができます。そのため、多くの弦を試してみたい方におすすめです。
しかし、インターネット通販では楽器店のようにスタッフの方にアドバイスをもらったり、ギターに合っている弦を選んだりする際に質問することができないため、ギターの初心者でアドバイスが欲しい場合は、楽器店などの店頭で買うのが良いでしょう。
ギターの弦の値段相場
ギターの弦の値段相場は購入するお店などによって変わりますが、通常のコーティングされていない弦の場合は、概ね数百円〜千円程度の値段相場で購入することができます。
一方、コーティングされた長持ちする弦の場合は、2,000円前後の値段相場になるため、通常の弦と比べると2倍程度、高価な場合があります。
なるべく予算を抑えてギターの弦を手に入れたい方はコーティングされていない弦を、多少予算がかかっても長持ちする弦が欲しい方は、コーティングされている弦を選ぶと良いでしょう。
ギターの弦が切れた時の捨て方
切れてしまったギターの弦は、通常の燃えるゴミではなく資源ゴミまたは不燃ゴミとして回収されるのが一般的です。
スチール弦であれば金属ゴミとなるので不燃ゴミ、ナイロン弦はプラスチック製のため、プラスチックの資源ゴミで廃棄するのが正しい処理の方法となります。
なお、ギターの弦を捨てる時は、新品の弦と同様に丸めてまとめて捨てるようにしましょう。自分自身だけでなく、ゴミの回収をする清掃員の方が怪我をしないように配慮することが大切です。
まとめ
今回は、ギターの弦の張り替え方法や時期・種類・素材・値段相場などを徹底的に解説しました。ギターの弦の選び方を知っておくことは、ギターの弾き心地や出音の個性にも直結します。今回の記事を参考にしながら、ご自身にピッタリのギター弦を妥協なく選んでくださいね。