『レ・ミゼラブル』は、ヴィクトル・ユゴーの長編小説(1862年)を原作に、1985年のロンドン初演以来、世界中で上演されてきたミュージカルです。日本では1987年の初演から30年以上再演が続き、東宝系ミュージカルを代表する作品になっています。
「長い」「重い」という評判で尻込みしている方のために、この記事では初めて観る人が迷わないための物語の流れと、主要な劇中歌をまとめます。
観る前に知っておくと楽になる2点
- 全編が歌で進みます。台詞の場面がほとんどない「スルー・サング」形式なので、最初は戸惑うかもしれませんが、10分で慣れます。
- 時間が大きく飛びます。物語は十数年にわたり、幕ごと・場面ごとに年代が進みます。「いま何年で、誰が何歳か」を気にしすぎず、人物の関係だけ追えば大丈夫です。
主要人物
- ジャン・バルジャン:パンを盗んだ罪で19年服役した男。出所後、ある司教の慈悲に打たれ、新しい人生を誓います。
- ジャベール:法を絶対とする警官。バルジャンを執念深く追い続けます。
- ファンテーヌ:娘コゼットを養うために身を落とす女性。
- コゼット:ファンテーヌの娘。バルジャンに引き取られ、成長します。
- マリウス:革命を志す学生。コゼットと恋に落ちます。
- エポニーヌ:マリウスに片想いする少女。テナルディエ夫妻の娘。
- テナルディエ夫妻:強欲な宿屋の主人。物語の随所で悪と笑いを担います。
- アンジョルラス:学生たちの指導者。
物語の流れと劇中歌
序盤:赦しと再出発
出所したバルジャンは、司教の赦しによって生まれ変わることを決意します。数年後、彼は名を変え、市長にまで登りつめていますが、工場で働くファンテーヌが不当に解雇され、転落していく。ファンテーヌが歌う『夢やぶれて(I Dreamed a Dream)』は、この作品で最も知られた曲のひとつです。死の床でファンテーヌから娘を託されたバルジャンは、コゼットを引き取ることを誓います。
中盤:パリ、1832年
時は流れ、舞台はパリ。成長したコゼットは学生マリウスと出会い、恋に落ちます。一方、マリウスに想いを寄せるエポニーヌが、夜のパリで一人歌う『オン・マイ・オウン(On My Own)』は、片想いの歌の代表格です。街では学生たちが蜂起の準備を進め、全登場人物がそれぞれの想いを同時に歌う第1幕の幕切れ『ワン・デイ・モア(One Day More)』へ向かいます。
終盤:バリケード
第2幕は、学生たちが築いたバリケードが舞台です。『民衆の歌(Do You Hear the People Sing?)』は、この作品の象徴であり、劇場の外でも歌われる曲になりました。バルジャンは、コゼットのためにマリウスを守ろうと決意し、眠るマリウスのために祈る『彼を帰して(Bring Him Home)』を歌います。蜂起は鎮圧され、多くの若者が命を落とします。
結末
マリウスは生き延び、コゼットと結ばれます。ジャベールは、自分の信じた正義とバルジャンの慈悲の間で引き裂かれ、ある選択をします。そしてバルジャンは、役目を終えた者として静かに人生を閉じていく ― 終幕の合唱は、観客の多くが涙する場面です。
なぜ「初めて」でも大丈夫なのか
物語は複雑に見えますが、軸は一本です。「赦された男が、今度は人を赦す側として生きる」。ジャベールとの対比もこの軸の上にあります。人物の名前を全部覚えなくても、バルジャンの歩みだけ追っていれば、終幕で自然に感情が追いつきます。
上演時間は休憩込みで約3時間。キャストは複数制で、日によって主役が変わるのが東宝系の特徴です。公演情報は公式サイトでご確認ください。
そして、重厚な物語の余韻を、静かな一曲で。
▶ 大作の余韻に、静かな一曲を 「汚れた痛み」― 音楽物語『flehmen』の一曲 聴きどころ:こぼれ落ちた感情をそっと言葉にしたような、静かに深く沁みる一曲です。 → flehmen「汚れた痛み」を聴く
文責:motet 編集部

